さよならドイツ連邦共和国

H&Mで服を買っている。 日本にないドイツ仕様なモデルも沢山あるのだろう・・・。 そして薬屋、靴屋、ゲームショップ、文房具屋・・・色んな店に入りながらドイツを感じている。 

テレビゲームはDSやwiiのコーナーがかなり大きい。 ドイツは任天堂フィーバーだな・・・。 やはりソフトの殆どがアメリカと日本からの輸入だな・・・。 

やはり想像通り、ドイツの文房具はかなり凄いことになっている。 フランスで見た文房具は日本製が多かったが、ここではドイツ製が多い。(フランスは慢性的にドイツ製品不買運動でもしているのか??) 

ラミー、ロットリング、ステッドラー、ペリカン・・・デザインを専攻してきた我々は学生時代からロットリングとステッドラーにはお世話になってきた。 昔から分かっていたんだ。 本気でデザイン作業を始めたら、ドイツ製しか使いものにならんって事は・・・。



あれ、初めて見る飲食店だ・・・なになに??Heisser wolf?? 閉鎖的な狼??(ヘイサーを日本語で読むなよ) 少なくとも日本と韓国では見かけない飲食店だ。 

あっ、ここもソーセージの店だ!! さすがドイツ。 幸の薄そうなオバサンがソーセージを指差しながら、「カレーぐヴぉォルス」と言っている。 どういう意味だろう・・・。 (日本に帰って調べたが、カレーはカレー粉、ヴォルストはソーセージの事だった)

あれ、ここは包丁とか、キッチン周り製品の店だな。 どれどれ・・・ あっ、ゾーリンゲンのコーナーがあるじゃん!! 包丁、ハサミ、爪切り、鼻毛カッター・・・。 それらを眺めながらまた琴線に触れられた。 

この国に来てからずっと思っていることがある。 この国のデザイナー魂に対してだ。 僕は日本人デザイナーのセンスの無さには本当に吐き気がする。 それでも仕方なく、我慢しながら日本製品に囲まれて暮らしている・・・。 

僕から見るとフランスやドイツ、イタリアのデザイン力は本当に素敵だ。(フランスはドイツがいくら素敵なものを作っても認めないだろうけど) なんで我が国は・・・。(だからデザイナー目指したんじゃんsuuちゃん)

この国のデザイン力は凄まじいと再認識せざるをえない状況だ。(仕方ないよな・・・我々もドイツの機材使ってデザインを学んでいたんだから・・・)

ドイツに滞在していると、フツーに目に付く、"キレのあるデザイン"を数点、挙げていこう。




ペリエの瓶。 このガラスの色に注目、そして清涼感漂う瓶の色と、メタリックな同色で上手くまとめたパッケージ。 うーんこいつは、キレがある!



信号機。 凄くcoolだとしか言いようがない。 日本の信号と比べてもらえばすぐにわかると思う。 日本人の悪いところは、"変われない"ところだ。 今でも30年~40年前に出来た文化を崩せない。 だから日本のデザインは死んだままなのだ。 日本人デザイナーは死んだ神を崇拝しているからだ!! 世界に飛び出せ!! うーんこいつも、キレがある!



Old建築で焼け残った昔のドレスデン駅の一部。 あまりにもCoolすぎて何も言うことなし。 横に張り出した屋根の形に注目。 あまりにも愛すべき形状だ・・・。 さらに正面の菱形ランプがなんともいえないアクセントになっている。 うーんキレがある!



更にOldな世界へ・・・ この頃からドイツのデザインには無駄がなく、実用的で、しかもCoolである。 まるでジルサンダーを思わせる・・・。 うーん太古の昔からキレがある!

なんてカッコいいんだドイツは・・・。
もぅ一生ドイツ製品しか買わん!!(マジでそんくらい凄いと思うんよね・・・)

よし、このcoolな爪切りを買っていこう。(日本でこの爪切りを使用すると、あまりにも切れ味がよく、切った後にツメを研ぐ必要がなかった・・・冗談抜きでハンパない・・・) 

デパートの地下は日本と同じく、食品売り場になっている。 ここにいるだけでドイツの生活というものが理解できる気がする。 中でも興味津々なのは、調味料だ。 マスタードの種類は豊富だし、色んなフレーバーのソースが売ってある。 中でも目を惹いたのはハンバーガーソース!!(日本に戻りそれを使うと、100円のハンバーガーがBIGMACの味になった・・・)

あっ、ケーキ屋だ。 僕の大好物のバームクーヘンがある
よ!! そういえば僕がもともと知っていたドイツ語は・・・「アルツハイマー」と「アルトバイエルン」、「アイバイト」とか「ダックスフント」 うんー・・・あとは「ハーゲンダッツ」と「プロレタリアート」・・・そして「バームクーヘン」くらいだ。

バームクーヘンは大きさがバラバラでグラム売りされているようだ・・・。 本場じゃグラム売りか・・・。 僕はハッきりとしたドイツ語で自信満々に「このバームクーヘンください!!」と言い、大きなバームクーヘンを買った。


日が暮れそうだ・・・。 ドレスデン駅に行き、プラハ行きのチケットを買った。 えっ?? 30ユーロもすんの?? ・・・しまった。 こりゃあプラハで往復を買っておいたほうがオリコウさんだったよ。 ユーロ換算で考えると、プラハ→ドレスデンの片道料金は21.6ユーロ。 つまり、9ユーロ(1,000円強)の損なのだ。(これからチェコとドイツを旅する人は要チェックですよ)

明日寝坊をしても大丈夫なように、帰りの汽車が入るホームへ来てみた。(ドレスデン駅は少し複雑) ああ、太陽が沈んでいく・・・。




さてと、今夜はお酒は飲まないよ。 何故ならお酒よりも何よりも大好きな甘いものを食べるの。 もちろんバームクーヘン・・・アンタをいただくわよ〜。 ワクワク、ワクワク・・・。



これ一体何グラムあったのかな・・・。 



げっ238グラムもあったの?? 5.71ユーロもしたから、高いなーと思ったら・・・。

ガブリ、モグモグ・・・



ウマっ!! 何これ!! 激美味いチョコがかかっているのにまず驚いたけど、それより問題は中よ、中!!

日本のバームクーヘンとは全く別物の食べ物だ。 中はしんなりしていているのにフワフワしている。そして果実の味と香りがしている。 恐らく洋酒だと思うが、本当に上品な良い香りだ。 モグモグ・・・凄い・・・これは凄いぞ・・・。 モグモグ・・・

あっ、しまった、全部食べてしまった・・・。 カロリー大丈夫かオイ・・・。
 

ルーマニアの少女



ダンケの袋を持って、ホテルのフロントを通り過ぎようとすると、こういう時に限って・・・フロントの女性がニコニコしながら「今日は何を買ったの??」って聞く。 

そっか・・・ホテルに戻ってくる都度、この金髪女性に買ってきたものを見せびらかしていたから仕方ない。 そういえば、昨日の夕方、買ってきたビール瓶を突き上げて「チュース」って言ったり、不味いフランクフルトを食べたとか、言葉が通じないのがストレスだとか、俺は「カイト」だとか・・・色々とドイツでの苦悶している僕の心の叫び?を聞いてもらっていたからだ。

するとフロントの女性はシャリシャリと勝手に袋を触りはじめ、ついにダンケの頭が覗いてしまった・・・。 嗚呼 今、赤面マックス状態だ。 30過ぎた男がぬいぐるみを買うなんて、どーかしている。 間違いなくどーかしているでしょ・・・。

フロントの女性は凄く跳ねた声で「カワイイ♪」と言いながらダンケの頭を撫でている。 バレてしまった・・・仕方ないな・・・僕は彼女に対して妙に素直になり「寂しいから買ったんだ」と言った。 しかし彼女はそれに対して何も言わず、嬉しそうな顔で僕の目を見ながら「とてもカワイイから、今から名前をつけよう」と言い始めた。

「いや、もう名前はつけたんだ」
「それは日本語で??」
「いや、ドイツ語でつけた」
「ドイツ語しゃべれないのに・・・」
「昨日インターネットしてたでしょ? あれでベリー少しだけ出来るようになった。」
「名前は何??」
「彼女の名前はダンケ」
「雌犬なの??」
「そうだけど・・・」

何故かここでフロントの女性は大爆笑しはじめた。 

???? 何が・・・そこまで・・可笑しかったのかな??

さっぱり分からないが、涙を浮かべて笑っている。 かつていろんな国の人を笑わせてきた。 しかし今回は完全に"笑われてしまった"感じだ。 目と鼻を真っ赤にしながら接客に戻っていくフロントの女性・・・ 僕は部屋にダンケを置き、また外に飛び出して行った。

しかし、何があそこまで楽しかったのだろう・・・名前が"ダンケ(有難う)"で"雌犬"ってところが恐らくストライクだったのだろう・・・。  ドイツのツボはまだ分からんなぁ・・・


腹が減ったので、飲食店の中を覗き込んでいる。 何だ?? ブロッケンと書いてある。 ブロッケン??いかにもドイツ的な言葉だ。 キン肉マンに出てくる正義超人にブロッケンjrってキャラがいる。 ブロッケン!! カッコイイ!! 

ブロッケンが食べたい!! ブロッケンが食べたい!! ブロッケンが食べたい!!  

ロップ!! ーップ!! (節子!! それは、おはじきやで!)

ソーセージ屋のオバサンは野獣のような顔をしている。 恐らくマカナイで毎日ソーセージばかりを食べているからこんなブロッケンな顔つきになったのだろう。(ブロッケンな顔つきってどんな顔だよ・・・)

僕が「ブロッケンをくれ」と一言言うと、オバサンは「これら全部ブロッケンだ」というジェスチャーをする。 参ったな・・・この店の全てがブロッケン現象なのか。



ソーセージにはケチャップとマスタード、そしてカレー粉がかかっている。 カレー粉か・・・これは発想したこともなかった。 美味そうだなこれは。 バリッ モグモグ・・・

ぐぅああああああ!! 此処でやっと本場のドイツを味わってしまった・・・。 これは本当に美味い!! 美味すぎる。 本場ドイツのソーセージって、ここまで凄いのか・・・。 これは・・・もぅ、神です。 神以外の何者でもない。。。

口の端に少しケチャップとカレー粉の味がしている・・・。 そしてまた、テクテクと石畳を歩いている。 

あれ、アコーデオンの音がするなぁ。 ビルとビルの間に座り込んで水色のアコーデオンを弾いている小汚い少女がいる。 その少女が弾く曲をずっと聴いている。  ああ、"♪パリの空の下"を弾いているんだな・・・。 

この少女、かなりテンポからなにから無視して弾くので、初めは何かわからなかった。 そこスタッカートだろ・・・ああ、そこ繋げちゃだめだよ。 そこはちゃんとラルゴで弾けよ・・・ あーイライラするこのガキ!! ちゃんと楽譜見たことあるのか??

シャンソン中毒の僕は、聴いているうちに口を挟みたくて仕方なくなってきた。 僕は彼女のアコーデオンケースの中に2ユーロ硬貨を入れると、彼女は驚いて演奏をぴたりと止めてしまった。 おいおい、どーしたんだ?? 恐らく2ユーロはこの子にとって大金だったのかな・・・。 眉の繋がった彼女は「有難う」とドイツ語で言い、まだずっと僕の目を見ている。 

この子は綺麗な服を着て眉をちゃんと整えれば凄い美人になるな・・・。 よく見ればまつ毛が長くて美人顔だ。 僕は「さっきからフランスのシャンソンをプレイしているけど、ピアフが好きなのか??」と聞くと、「ごめんなさい、私は英語が出来ません」と言っている。

「何人だ?」と聞くと「ルーマニア」と小さな声で言った。 ルーマニアっていったらルーマニア革命とチャウシェスク大統領のイメージだ・・・。(公開裁判・処刑の後、この国の人々に更に苦しい日々が待っていたという、皮肉な運命の国である)

ルーマニア人とは・・・。 しかし、2ユーロで足りるだろうか・・・親切でお金持ちの人が沢山お金を入れてあげればいいのに

僕がお金を入れたからに違いない。 近くに居た人々が
少しづつお金を入れ始めた。 

ふと昔を思い出した。 韓国で生活に困った靴拭きが僕の汚れたブーツに飛びついてきたとき、僕はその人を振り払った。 その当時はファッションで、ブーツを汚していたからだ。 後で反省したが、旅先で出会う人と自分の境遇があまりにも違いすぎて、その場では瞬時に分からなかったのだ。

あれから10年以上経った。 僕も30代になり、だんだん人の痛みが分かるようになってきたのか・・・それとも偽善の心を恥ずかしげもなく出せるようになっただけなのか・・・。

そのアコーデオンのメロディが音を変えた。

さっきまで下手くそ!!って思っていたのに、ルーマニアだと聞いただけで・・・ やっぱり僕は偽善者なのだろう。 ふんぞり返ってルーマニアの少女に同情しているだけのクソ野郎だろう、きっと。


僕が尊敬するドイツ人、ニーチェはこう言った。 十分に自分自身を支配する力がなく、絶えざる自己支配・自己克服としての道徳を知らない人は、無意識のうちに善良で同情的な情動の崇拝者になってしまう・・・と。

ただ、ただ、アコーデオンの音はなり続ける。 

そしてその音が、自分の内面をどんどん掘り下げていくのがわかる・・・。 人は知識でモノを見て、やがて自分に絶望した後、心が真理みたいなものを求める・・・。 真理なんて捉えどころがないのにね・・・。 これから自分が何を思うか、そして何を知ろうとし、何をするか・・・。 薔薇色の混沌と自分との激しい戦いの上で、スーパーサイヤ人になれるのならば、なってみたい気がする。

みけんにシワをよせながら更に石畳を歩くと、今度はソ連の旗を持ったおじさんがいる。 何故か歩いている人々を静止して必死に何かを訴えかけている・・・。 恐らく、見るからに共産主義に戻りたい人だろう・・・。 本当に今のままでいいのか??と語りかけているように見えるのだ。 

さっき見たルーマニアの少女とそのおじさんの行為が重なり、東欧という輪郭がこれでもかというくらい今、目の前で見えている。 そうだな・・・東ドイツは特に厳格な「お東」だったからな・・・。

今のままでいいのか・・・?

全く分からない。 全く分からないが、人間の幸せというのに共産主義も民主主義も関係ないという事だけはよくわかる。 そして、正義感なんてものがこの世に存在しない方がいいという事・・・。(善行と正義感は別物) 20代の後半で中国を歩き続け、今は旧東欧州を歩き、分かったのはそれだけだ。


結局はしかないのよ。 

神に愛を込めて言いたいことは、んだ!っていう実感だ。(神に愛を込めてね・・・
) 

ああ、明日チェコに戻ろう。 ドイツは本当に勉強になったよ。

ダンケとの出会い

 

昨日登ったフラウエンキルヘを遠巻きに眺めている。 今日はエルベ河を越えて昨日見た爆撃されていないドレスデン、つまり観光地でない場所を冒険してやる。

ああ、ここからもルターの銅像が見えるな・・・。 フラウエンキルヘ(聖母教会)はプロテスタントの教会。 しかしマリアを神格化していないプロテスタントの教会なのに「聖母教会」とは何事だろう・・・。(帰国後に調べたが「フラウエンキルヘ(Frauenkirche)」を「婦人」と訳しているようだ。)



このマルティン・ルターという男は16世紀の初頭に生きた宗教者で、プロテスタントの生みの親だ。 チェコのヤンフスと同じく、ローマカトリックの堕落に悩んだ男だった。 

先に書いたが、チェコのヤンフスは十字軍の軍資金の為に、
免罪符(人間の罪をお金で消せる魔法の証書)という制度を作ったローマカトリックに怒り狂い、宗教改革とボヘミアの主権を訴え闘った。

ドイツのルターはかねてからチェコのヤンフスを尊敬していた。 そして彼の怒りの矛先はヤンフスと同じ「免罪符」に向けられた。 
1517年、聖ピエトロ教会建築のための資金繰りに苦しんでいた教会が、また当然の様に免罪符を売り始めた。 ルターは怒り狂い、神学者たちに向け「魂が救われる道は免罪符を購入することではない。 罪は罪として認め、その罪は信仰によってのみ神の恩寵によって救われる」と発言した。 そして「人は信仰によってのみ神の国に生まれ、聖書は神の道を我々に示すもの」と主張し、ローマカトリックに身を置きながらもローマカトリックを「ひとつの権力」として捉え、真っ向から批難したのだ。

しかし・・・僕が思うに、ルターとヤンフスは全く違う。 フスは、国民に向けて福音主義を訴えたが、ルターは神学者に対して訴えた。 恐らく、彼らの目論見は違ったのだろう。 純粋に宗教を改革しようと思ったのがルターで、フスは宗教改革を利用して祖国を守ろうとした。

しかし当時のドイツは農奴制を強いていたし、市民たちも教会権力からの圧力に苦しんでいた。 必然だがルターの考えはたちまち市民に利用されることとなる。 やはりここで、ルサンチマンが爆発したのだ。

まぁ、僕はカトリックだからプロテスタントの事は関係ないけどね。 今でもプロテスタントの多くはカトリックを「権力主義」と批判しているが、根本にはルターの身の回りに起きたこのドイツの世情がある。 現代のプロテスタントは、これらの世情に自分の生きる世界を重ね、生きているのだろうか・・・。



路面電車で、昨日の夜に来た街に辿りついた。 これぞ鴎外もゲーテも愛した真のドレスデンの姿だ。 ショウウィンドーを眺めながら歩いていると、ロケンロー系のアクセサリーを売っている店を発見した。 店に入ると僕と同じくらいの大きさの犬が目の前で寝ている。

店の主人は黒いTシャツにスキンヘッド、太い腕に生えている金色の体毛の下にはビッシリと刺青が・・・。 おお、これぞドイツって感じだ。 そういえばドイツは街を歩いていると、女性も男性も多くの人がファッションタトゥを入れている。 今まで行った外国の中では、確実にナンバーワン刺青大国だ。



主人はニッコリ笑って、何を探しているのだ??と聞く。 この人は最初から英語で喋ってくれる・・・。 すると突然大きな犬がムクっと起き上がって、僕の顔をじーっと見ている。 まだ寝ぼけているのだろう・・・。 するとその犬は何を思ったのか僕の足にまとわり付いてきた。 

ああ、カワイイ。 本当に物凄くカワイイのでムツゴロウさんの様にドイツの犬とじゃれている。

主人は腕を組んで感心し、「ああ、こんな事初めてだ。 コイツはいつも、お客が来ても素っ気なく寝ているのに・・・」って。 「僕は犬がスキだから・・」と言うと、「いや、フィーリングが合う人間にしかこんな事はしないのだよ」と言いながら笑っている。 どの国に行ってもそうだが、いつも犬から好かれるのは何でだろう・・・。(僕は犬のフェロモンが出ているのだろうか・・・)

本当にかわいい。 恐らくレトリバーと何か大きい犬の雑種だろうが、本当に愛しい目をしているのだ。

色んな店に入りながら気付くが、ドレスデン中心街から少し離れただけで思いっきり物価が安くなっているのだ。 小さな靴屋で革のファスナーブーツをさっきから一生懸命見回しているが、文句のつけようのない仕事をしている(ヨーロッパ製の革靴はやはり素晴らしい 革を知り尽くしている・・・)それなのに日本円で8000円くらいだ。



駐車場に入ろうとしている車に歩行を止められたが、運転手は凄く愛に溢れた顔で「ありがとう」と挨拶をする。 ドイツという国は本当に人あたりがいい人ばかりだ。 ドイツに来てからずっと感じているのだが、人に疲れることがないのだ。 これは、民度の高さと理解していいのかな・・・。

ドイツの場合は、ストリートから一歩建物の中に入ると、そこに中庭みたいな広場があり、オープンカフェがあることが多い。

カフェのそばにある小物屋の入り口で、クマのぬいぐるみが休みなしにシャボン玉を吹いている。 売られている小物類はオリエンタルなものが多い。 日本の雑貨屋はヨーロッパの小物を扱っているが、ヨーロッパの雑貨屋は逆にオリエンタルグッズが多いのね・・・。 ぶらぶら散歩は延々と続き、ドイツというものを身体に叩きこんでいくsuuちゃん・・・。



あれっ、店の中から視線を感じるのだ。 何だろう・・・ ショウウィンドーを見ると、そこはぬいぐるみの店だった。 そしてさっきから一匹の犬のぬいぐるみと目が合って離れない・・・。 

なんて目をして僕を見るんだ。 なんて目をしているんだ・・・。 

まるで僕の「カイト」な心を見透かし、心配そうな目で、じっとこちらを見つめている。 何だよ・・・。 お前なんかに俺の気持ちが分かるもんか!! 僕はまた喧騒に向かって歩き始めた。

しかし僕は立ち止まってしまった。 振り返ると、そのぬいぐるみがショウウィンドウの中で、寂しそうにしているように見えたのだ。 

ずっとそうやってドレスデンの街並みを眺めているのかお前は・・・。 お前もカイトなのか・・・。

気がついたら店の中に入り、その犬のぬいぐるみを抱きしめていた。 レジで清算をしていると、女性店員が袋に入れる前にこの犬の頭をやさしく撫でた。 僕は小さな声で「アウフヴィダーセーィェン(さようなら)」と言いながら店を出た。

 


また、駅の近くのショッピングセンターに戻ってきた。 袋に閉じ込められた犬が不憫に思えて仕方ない。 そうだな・・・名前をつけてやらないとなぁ・・・。 そうだ、ドイツに来て一番初めに使った言葉「ダンケ」にしよう。 お前の名前はダンケだ。

国立ドレスデン絵画館

 
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ドイツなのに、超アメリカンにSUBWAYで朝食しようかな・・・。 アメリカ嫌いだけど大好きなんだよねSUBWAYとかマクドは・・・。 

今日からはドイツ語10個だけは覚えているから大丈夫だ。 店員に「グーテンモーゲン(おはよう)」と言うと、若い女性の店員は機嫌よさそうに「モ〜ゲ〜ン♪」と返してきた。 

えっ!? モーゲンだけでいいの?? それなら今度からモーゲンしか言わん!!  またひとつおりこうさんになった。 

いや待てよ、もしかしたら「モーゲン」だけだったら「おっはー」みたいな感じになるんじゃないだろうか・・・。

このゲルマン女ぁ、この俺様に「おっはー」って言ったのか!?

ゲルマン女はケース内の一つひとつの具を指差しているので、「ヤー(はい)」「ナーイン(いいえ)」で選び、オリジナルサンドが完成!! ドイツ語だけでオリジナルサンドが完成したぞ!!(ハイとイイエしか言っとらんやないか!!)

日本では出来ないガスウォーターとサンドイッチという組み合わせが口の中でスパークしたとき、ああ異国に居ると実感させられるのだ。








しかし、昨日はひどい目に会ったな・・・。 ドイツからの手荒い歓迎だと思おう。(自爆しただけのくせに) 朝早く起き、小鳥が鳴く中、城の周りを散歩している。 今日はなんだか涼しくて、青草薫る風が本当に清清しい。 お堀のみなもに映る城の姿は印象派の絵画を思わせる眩さだ。

ああ、お城の周りを散歩していると、まるで小公子セディになった気分だ。 

あらら、ピンクのスウェットを着てジョギングしている女性がベッキーにそっくりだ。 
思わず知り合いに会ったような気分になってしまい、手を振ってしまった。 するとベッキーは通り過ぎた後、わざわざ振り返ってニッコリ笑い、大きな声で「チャーオ♪」と言った。 チャーオってイタリア語じゃないのか?? イタリア人だったのか??(チャオは元々イタリア語であるが、ドイツにおいて流行り、最近では完全にドイツ語として定着しているとの事 日本でいえば、バイバイだろう) 



なんだろう。 バス停広告だ。 もう少し強く風が吹いた時に写真撮らな・・・。



うん・・・何だろう。 鉄のハートを受け止めるゲルマン女・・・。 しかし外人の僕には何の広告かさっぱりわからない。  GIULIA IN LOVE!? なんじゃそれ?? (帰国後に調べたが、テレビの番宣だった)





さぁ、ドレスデン国立絵画館が開く時間だ。 美術好きなら誰でも知っているであろう、ヨーロッパの主要美術館ベスト10のひとつ。 パリでは見れなかったものも此処では見れる・・・。



ここは10時開館、18時閉館となっている。 入館料は10ユーロ。 
因みに、オルセー単体は7.5ユーロ、ルーブルは単体で9ユーロだったので、すこし高めだ。
昨日の緑の丸天井は6ユーロだった。(金の話ばかりすんよ) 

いや、たとえ此処が100ユーロでも入っているに違いない。 芸術とはそういうものだ。 

昨年パリのモンマルトルでひとりの有名画家と出会い、1時間近く芸術に対して語り合った。 彼は、開口一番、「日本人は芸術が分かっていない」と斬り捨てた。 僕は漠然とは実感しながらも、もしかしたら自分と違う考えかもしれないので、「何故そう思うのですか?」と聞いてみた。 

彼は画家としての観点から率直に語り始めた。
「日本人は、絵画を買うときはあれこれ言いながら値切るくせに、一旦自分のものになれば、その画の価値が出るまで想いを込めて持ち続けている。 価値が出ると信じているのであれば、買うときに値切るのは可笑しな話だろう。 値切るのはその芸術に価値が無いと思うから値切るのであって、価値を信じているのなら、その想いを素直に支払うべきなの。」

昨日も実感したが、芸術というものは金・権力と決してマリアージュではない。 どれだけ美しくても作者が生きているうちに評価されることがない事が多い。 それでもやり続けるのが芸術だ。 芸術というものは内面の世界である為、絶対的に孤独なのである。 誰か見ていようが見ていまいが繰り返される内面の叫び(魂の叫び)がいずれ人々の意識の中、洸に映るようになり、最後には人の心もろともひっくり返し、動かすのだ。 

芸術を理解したければとにかく見ることだ。 見て見て見まくることだ。

日本人の多くのように、他者が評価するから・・・という感じでは、我が国の人にいつまで経っても主体性は生まれないだろう。 そして我が国はいつまで経っても大日本帝国という軍国主義・権力主義に生きる国民性を引き摺っていくつもりだろう。 だから我が国は韓国から「帝国亡霊」と呼ばれるのだ。 韓国人は決してファビョって日本に対して妄言を吐いているのではなく、かなり適切な表現で日本の弱点を指摘しているのに、何で我が国の人々はそんな韓国の心を大切に思えないのか・・・ わかるか馬鹿野郎!!(suuちゃん、それじゃ大韓紀行やん・・・)

昨年、パリでモディリアーニの作品に触れ、彼と彼の妻の不遇な人生を思わずにはいられなかった。 一方、フジタやピカソなど、生きている・・・(また芸術の話し始めたら長いんやろsuuちゃん、そこらへんでやめときなさい)

はい、わかりました。



うぉあーー・・・



足が震えて、動けなくなった。 凄いオーラを放っている絵画があるのだ。 それはフェルメールの手紙を読む少女だ・・・。 

っていうか、生で見るフェルメールは凄い。 資料で見るのとゼンゼン・・・全然違う。 どうやったらこういう画を描けるのか・・・ 実は隣にもう1点フェルメールが並んでいる。 世界に三十点そこそこしかない彼の作品が僕の目の前で二枚並んでいるという・・・

ああ、失神寸前だ。

もう、30分くらい見ているだろうか・・・この画が焼けるほどに見ている。 フェルメールを独り占め状態なのだ。 ここまでの名画と二人きりになれるなんて・・・。 神様本当に有難う。


ああ、ラファエロのサン・シストの聖母だ。 紛れもないイタリアルネサンスだよ・・・

こりゃ、また溜息しか出ない。 はぁはぁはぁはぁ・・・・、凄すぎる・・・

想像していたよりも大きい絵画だ。 いかにもラファエロって感じのこの雰囲気。 ツンとしたエリート画家と評価されることもあるが、ミケランジェロとの逸話を読んでいると、彼はとても人間らしいと思う。 だから僕はラファエロがとても好きだ。

何度もこの画の元に帰って来てしまう。 これが最後だ・・・ 静かに十字を切り、美しきラファエロのマリアに背を向けた。



全ての画を見終わり、また放心状態になっている。 「ありえない」という言葉ばかりが頭の中を渦巻いている。 衝動で来たドレスデンで、昨日今日と恐ろしいものを立て続けに見てしまった。 ちょっと、荒れ狂う内面を治めるために、コーヒーブレイクしよう。

昨日からずっと思っているのだが、ドイツはケーキが美味い。 パリもほっぺが落ちるほど美味しかったのだが、何故かドイツの方が僕好みのケーキが多い。 味も甘過ぎず絶妙かつ繊細。 すごく美味なのだ。 何ていったらいいだろう・・・とにかくこの国はケーキレベルが高い。

凄くキメたstyleのウェイトレスが、英語で「ショウケースの中のケーキは全部カットしてあげるから、好きなのを選んで食べていい」と言ってくれた。 えっ!? これ全部食べれるの???

じーっと見ている。 大きなケーキ専用のショウケースを見ているとなんだか、物凄い幸せがこみ上げてくる。 ウェイトレスは忙しいのか、立ち去ってしまった。 それでも時間をかけてじーっと選んでいる・・・。

選んでいるときの、この幸せ・・・。 本当に興奮してきた。 

欲しいケーキが決まり、近くに居たオバサンのウェイトレスを呼び、ショウウィンドーを指差しながらドイツ語で「ダス クーヘン ビッテ(このケーキください)」と言ってみた。

オバサンウェイトレスは僕が指差しているケーキと違うものを指差して「クーヘン??」と言う。 

こういうときは何って言えばいいのだろう・・・あっそうか、昨日勉強したな・・・英語でいう「not」は確か「ニヒト」だったよな・・・。

僕は「ナーイン!(違う)」と言い、もう一度指差して「ダス ニヒト ダス クーヘン ビッテ(これじゃなくて、このケーキください)」と言うと、「トルテ?」と聞き返してくる。

えっ、トルテって何??

どうやら、ドイツのケーキには"クーヘン"と"トルテ"という違いがあるようだ。 恐らく僕が食べたいのはトルテなのだろう。 とっさに「ヤーヤ、ダス トルテ ビッテ(そうそう、このケーキください)」と言うと、すんなり切り分けてもらった。

僕の怪しすぎるドイツ語が通じたぞ!! 万歳!! 万歳!! 万歳!!
(ドイツの赤ん坊レベルだが、なんとか会話している気分になってきた・・・チェコ語くらい真面目に勉強して来ればよかった・・・)



マジでマジで、最っ高〜〜〜!に美味い・・・。 こんなに美味いケーキは産まれてはじめて食った。 コーヒーも最高点!! ドイツのカフェは、フランスのカフェと明らかに違う。 どこのカフェもコーヒーのメニューが凄まじく多い気がするのだ。(フランスもコーヒーのメニューは多いが、ドイツの場合はコーヒーは勿論、それ以外のメニューもすこぶる多い) 

韓国もチェコもフランスもドイツも、カフェに対して人々が求めるものが違うのが分かる・・・。 いろんな国のカフェを見ていると、その国の人々が"自宅以外で落ち着ける場所"において、何を求めているかが分かるときがある。

フランスのカフェは粋な社交場であり文化の発信基地、日本のカフェは経営者自己満足の世界、韓国のカフェは社会の暗部・・・(爆笑)

そしてドイツのカフェは、一言で言えば「飲食百貨店」だ・・・。 

コーヒーの話に戻るが、チェコではエスプレッソはエスプレッソひとつの表記だったが、ここではリストレットの表記もある。(リストレットとは普通のエスプレッソ抽出に使う豆の量を少ない水で抽出し、ガツンとくる濃厚な味わいのエスプレッソ) 

ドイツ人がかなり本気でコーヒーを愛しているのがよく伝わってくる。

さぁ、なんとなく言葉も通じるみたいだし、街に出よう!! さらにドイツを掘り下げに行こう!!

ドレスデンの蒼い月

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真っ暗なドイツ・・・。 人っ子ひとりも居ない。 鳴いているのは草の虫だけ・・・。 

♪戦するにはかねてから〜ぁ 捨てる覚悟でいるものをぉ〜 泣〜いてくれるな草の虫〜 東洋平和の為ならば〜何の命が惜しかろう〜♪(露営の歌)

何故か寂しくてこの歌を歌ってしまった。  遠くに大きな建物が見え、薄ぼんやりと灯りがついている。 何だろう・・・しかし1キロくらいあるぞ・・・

何を言っているんだ!! このままでは異国の土になってしまうぞ! 灯りに向かって進軍あるのみだろ!!

ハイルヒッ*ラー!!!(最悪な独り言だなしかし・・・二度とドイツ入国出来んようになるぞ・・・)

やっとたどり着いた、中で人が動いている・・・ 多分、ここはショッピングモールに違いない。 待てよ・・・フォークリフトが動いてやがる!! ここは工場じゃないか!! 


Shit!!

しかし、どうしよう・・・本当に人がいない。 工場の駐車場はアウディやワーゲン、ベンツがずらーーーーっと停まっている。 恐らくシフト制で働いているのだろうけど、工場の人たちはいい車に乗ってるなぁ・・・。 よくよく見てみると、たまーにMAZDA・トヨタ・日産って感じだ。 なんだかMAZDA車を見ただけで少し安心してくる・・・。 すると、更に向こうに車が走っているのが見えた。 また1キロほど先だ・・・。

真っ暗闇の草原を歩き続ける・・・歩いていて、草の感触が日本のものとは違う。 モワッツルッっていう感じだ。 僕は一体何をやっているのだろう。 あっ、月が出ている。 月を見ていると何故か安心できる。 言葉が通じない異国でも、月はいつも見ている月だ・・・。 

ああ、キツいし・・・なんか本当にアインザムカイトだ。 やっと言葉を10個くらい丸暗記したのに、使う相手もいない。 なんで草原の中で一人ぼっちなの僕は・・・。

フェンスの向こうは車道だ・・・。 しかし、どう考えても出口は無い。 この金網を登り超えるしか道は無いのだ。 まるでベルリンの壁を眺めている東ドイツの民みたいな感じになっている。 もしかして、高圧電流が流れていたらどうしようか・・・。 ハイテクなドイツならそういうこともありゆる。 怖い・・・でも、ここを登って超えないと僕は帰れないよきっと。

ゆっくりと金網に手をかけ、足をかけた。 

しかし、金網の上部に触るのが物凄く怖いのだ。 頭の中でスト2のブランカにやられたダルシムがバチバチバチと感電し、「うぁーーっ」って言いながら画面の端に吹っ飛ぶ姿が何度も出てくる。 YOU LOSE・・・。


俺は男だ!! 行くぞ!!!


小指で少しだけ触ってみたが、特にピリピリ来ない。 しかし手のひらを乗せた瞬間ダルシムみたいに飛ばされ・・・(ダルシムダルシムやかましいわい!!)


ヨガっ!!(遂に手を乗せた)

あっ!!大丈夫だ・・・。 金網から脱出成功!! 西ドイツに逃れたような晴れやかな気分だ!! 後ろを振り向き誰も見ていなかったか確認している。 よし、誰もいない、いない!!


あっ、更に前方300メートル辺りに路面電車の停留所らしきものを発見。

オラは生きて還れるぞ!!

しかも停留所には滝クリ似のドイツ娘が!! しかし、こんな人気のない中で話しかけたら怖がるだろうな・・・。 待てよ、ドイツは治安がいいっていうよな・・・。 じゃあ喋りかけてみるか!! 知っているドイツ語その1「グーテンアーベン(こんばんわ)」と言うと、
滝クリも「こんばんわ」と言った。 よし!!通したぞ!! ほぼ初めて積極的にドイツ語を使用した感じだ。

「イッヒ(私)・・・」しまった、私しか言えねぇよ。 どうしよう。 
滝クリは「ホニャホニャ?」とドイツ語で聞いてきている。多分「どうかしましたか??」とか、そこら辺だろきっと。

「すみません、英語喋れますか??」と聞くと、「ええ、大丈夫ですよ」と返ってきた。


オラは生きて還れるぞ!!

ホテルへの帰り道を尋ねると、そりゃあ懇切丁寧な対応だった。しかも英語の発音は物凄く聞き取りやすく、最高だ。 どうやら2回くらい乗り換えないと帰れないようだ。 僕は
滝クリに大きな声で「ダンケ・・・ダンケシェーン!」と言った。 滝クリも「ビッテシェン」と言いながら電光掲示板を指差している。 「貴方が乗る13番はあと20分待ちよ」と言っている。 


20分間ぼーっと
滝クリと一緒に待っている。 滝クリもそれに乗って本数の多いところでまた乗り換えると言っている。 そうこうしているうちに、ジャンキーなのかネオナチみたいな奴らがビール瓶片手に歩いてきた。 ひとりは僕の前に座り込みビールを飲みながら焼きそばみたいなアジアンフードを食べている。(お前もアジアンヤンか・・・)


路面電車に乗り、
滝クリが教えてくれた場所で降りようとしたが、よそ見していて間違えた場所で降りてしまった。 歩いてひとつ前の停留所に戻ろうと思ったが暗くて全く道がわからない・・・。


ああ、やはりこの国の土になってしまうのか・・・ しかし、恐らくだが、路線図を見る限りここからドレスデン駅は近いはずだ。 道ゆくカップルにドレスデン駅の方角を聞くと、何やらハイテクな携帯端末を取り出し、GPSの3D地図が起動した。 「ああ、この道を真っ直ぐ行って左に折れて、その先をまた左だよ。」と言っている。 流石にドイツの携帯は凄い機能が付いている。 うちの会社の団塊の世代の上司が言っていた。「僕は高校の頃、学校の先生が、ドイツの工業製品の中身を見ると"マイナスネジ"のネジ山が全て
同じ方角に向いてビシッと並んでいる」と・・・。


ココはそんな国なのだろう・・・。


それはいいが、どれだけ歩いてもドレスデン駅は見えてこない。 更に悲惨なことに街灯がなくなり、月明かりだけが頼りになってしまった。 夜12時を過ぎている・・・生きていて、久しぶりにどうしようもなく怖くなってきた。 ここで襲われたら絶対ヤバイって。 突然2メートル近い奴が現れてレイプされるかもしれん。 欧州はそういうの多いやん。 男色の悪魔みたいなのから突然ズボンを下げられて、突然カマ掘られ・・・揺れながら、泣きながら・・・(描写はやめろ)


蒼白き月明かりの中、僕は尻を出したまま倒れているんよ。 「パトラッシュ・・・僕はもう眠たくなっちゃったよ・・・」 そして尻を出したまま天使に連れられ月に向かって舞い上がる(気色悪いから変な被害妄想やめろや!)

冗談はさておき、僕は走り始めてしまった・・・。 本当に冗談抜きで、マジで怖いのだ。 生まれてきてここまで怖いと思ったこと・・・ここまでの孤独感は初めてのような気がする。 怖すぎて走ったことなんて一度も無かったよな・・・。

角を曲がると、知った形の教会が見えた。 あっ!! これで方角が分かるぞ!!




ホテルに帰り着いたのは1時を過ぎていた。 クタクタだし、あまりの恐怖で眠れなさそうなので、冷蔵庫の中の酒とつまみを全部飲み食い・・・。


びっ、ビール激ウマ!!



 

アインザムカイト

 ホテルに戻る途中、さっきのカフェで思うように言葉が通じなかった事を悔やんでいる。 言葉が通じないと、何とも言えない孤独感を感じるのだ。 



そうだ・・・ドイツに来てからずっと言葉が通じない・・・だからずっと頭の中にひとつのドイツ語が浮かんでいるのだ。「カイト」という言葉。 何故か僕はドイツ語で「孤独」という単語を知っている。 学生時代「アインザムカイトとツヴァインザムカイト(ひとりの孤独とふたりの孤独)」を学んでいたことを思い出したのだ。 

道を聞こうとしても、よく「英語は分かりません」と言われ会話が続かないことが多々ある(特にオバさんに多い)。 ああそうか、ココは旧東側だもんな・・・英語なんて必要ない地だったんだよなぁ。

しかし、それでもこちらがしつこくジェスチャーで説明しようとすると、じっと見つめながら待ってくれている。 そういうドイツ人の「民度の高さ」にずっと助けられながら歩いている。



ああ、トイレ(小)したいな・・・
公衆トイレに入った。 日本の公衆トイレなんて臭くて、汚くて、気持ち悪いの3Kもいいところだが、やはりこのドイツは違う・・・。 臭くない、綺麗、気持ちいいの逆3Kなのだ。 ドイツって恐ろしい。 本当にデザインにも機能にもスキが無い。 しかも水の出てくる量が絶妙でエコロジー感まで漂わせている。




ホテルに戻り、シャワーを浴びながら、手を洗うクリームソープの滑らかさと香りにまで感動している。 持って帰りたいなぁ。

さっぱりして部屋に戻ると、何故か冷房が効かない。 オイオイ、ドイツともあろうお国が、エアコンの故障ですか??  

フロントに電話し「冷房がおかしいから来て」と言うと、フロントの女性は間髪いれずに「窓はちゃんと閉まっているのか??」と聞く。 後ろを振り返り、窓を確認すると、ズバリ僅〜かに空いていた・・・。 
シャープなデザインの金属ノブを引き上げ、ガシャっと閉めると、突然エアコンが始動するではないか・・・。 

恐ろしきエコ大国!!

やっぱ、ドイツという国はハンパなく凄いぞ・・・。 本当に凄い国・・・。 僕は今までいろんな国に行ってきたつもりだが、正直言って日本より進んでいると思った国はなかった。 この国ははっきり言ってヤバイ!! 相当ヤバイのだ。 

「我が国はこの国だけには勝てん」という感覚に心を締め付けられている。 ああ、この直感って何年ぶりだろう。 そういえば昔、中国で「ああ、我が国はこの国と将来戦争になるな・・・」と思った以来の直感が襲ってきた。(怖)

ホテルのロビーにインターネットの有料貸し出しサービスがあると言うので、お金を払い、IDとパスワードをプリントアウトしてもらった。 

何を調べるのかって?? もちろんドイツ語を勉強したいのだ。 ずっとパソコンを眺めながら、気付きがあれば即座にメモっている。

あらっ、フロントの金髪女性と目が合った。

僕がとっさに手招きすると、腕を後ろに組んで歩いてきた。 僕は書き写したカタカナのドイツ語を喋りながらパソコンを指差した。「イスト ダス アイン ドイチェス プロドゥクト?(これはドイツ製ですか?)」

女性は「あ゛っ??」という通じなかったときの表情をする。
 
僕は、早口でもう一度ヒトラーのような喋り方で喋ってみた。
すると女性は、ああ〜なるほど、という顔に変わり、「ナ〜イン(いいえ)」と言っている。
そして女性は、手本を見せるように、滑らかな声で「イスト ダス アイン ドイチェス プロドゥクト??(ドイツ語というのはイメージに反してとても滑らかな発音の言語)」と喋った。

僕は負けずに、オウム返しすると、目を大きく開けて「うきー(OK)」と言い、英語で「今、とても上手に喋ったわ」と言ってくれた。  

その後、フロントの女性は接客で戻っていったが、アインザムカイトな勉強は1時間続いた。

よし、文法とかはさっぱり分からないけど、必要な言葉を10個くらい丸暗記したぞ!! すると、何やら体がムズムズしてきた。 日が暮れてしまったのに、また外に出たくてたまらないのだ。

さっきからずっと意味も無く路面電車に乗っている。 窓に流れる紺色の景色を見ながら、ふと考えた。 このままずーっと乗っていたらどうなるのかな・・・。  

そして40分くらいずーっと乗っている。 おおっ!! 景色が変わってきた。 どうやら爆撃されていないドレスデンの街が残っているのだ。 しかもプラハ並みに美しい!! 

数少ない街灯にぼんやりと照らされ現れた古い都ドレスデン。 パリにもプラハにも匹敵する美しい街並みが突如現れたのだ・・・。 明日は絶対ここに来よう!!

さらにずーっと乗っている。 一時間以上乗っている気がする。 眼鏡のサラリーマンが椅子に座ると同時に分厚い本を開いて読み始める。 周りの人はどうなのかな・・・

なっ、何ぃ!!

ケータイを見ている奴なんて一人も居ない・・・。 かなりの確立でみんな黙って本を読んでいるぞ。 しかも分厚い本を・・・。 こいつ等、ただものではない。 こいつらドイツ人は勉強が趣味なのか?? 流石に偉大な哲学者、宗教者、科学者、政治家を数多くも輩出した恐ろしい国だ。 

ドイツって何なんだ・・・。

窓の景色が閑散としてきた。家も無くなり、草原を走っているような感じなのだ。 ヤバイな・・・。 僕が電車を飛び降りるとそこは虫が鳴く真っ暗な草原だった・・・。

しまった!! 俺、どうすればいいんだ!?

緑の丸天井(Green Vault)


レジデンツ城に着いた。 

その昔、このドイツ、ドレスデン一円にはザクセン公国というひとつの国があった。その選帝侯アウグストが1560年頃に秘密の宝物保管室を造ったという。

その名もGreen Vault。ドイツの人々は1570年代からここを「緑の丸天井」と呼んでいるらしい。 この宝物保管室は7つの部屋から成っており、その柱の一部がグリーンに塗られていたからそう名付けられたとの事。 

ここはヨーロッパで最も豪華絢爛な展示だという名声をかねてから知っていたので、この場所の存在は知っていた。 しかしチェコの旅ついでに衝動で来てしまうとは…。

館内は絶対に撮影禁止だ。しかし例の「彼」が4月に僕と同じようにココを訪れたようである…。 貴重な内部の写真を載せておこう。




そしてぶっ続けで3000点の宝物を見終わった…。



やはり音声ガイドを丁寧に聞きながら一つひとつを凝視していたら、半日かかってしまった。 まさにルーブルと同じ衝撃を受けてしまった…。

何だココは…。 こんな凄いものが、こんな凄いものが世の中にはあるんかい!! 生きていて良かった。 本当に生きていて良かった。 こんなトテツモナイものを見れるなんて、僕は…。 

出口でタバコを吸いながら放心状態になっている。 ああ、いかんいかん…また感官をぶっ殺された。エスプレッソでも飲みながら余韻に浸ろう…。


ああいう宝物と呼ばれる芸術を見て、いつも思う事がある。 

朝鮮の美と欧州の美の違いについてだ…。 僕は、朝鮮の芸術に韓国・北朝鮮人の高尚な民族性を見ている。 朝鮮民族の作る芸術はいつも自然と一つである。 姿もさることながら、その美の背景に感じる完成された学術と哲学の薫り・・・ 

古来から朝鮮民族は宇宙の一部として相応しい異物を作ることに徹してきた。 それらは見れば見るほど、恐ろしく深い「美」の世界へといざなわれてゆく。 その姿は、何かしらのイデアを表しているようでもあった。僕は青磁の小さな壷を眺めながら泣いてしまったことさえある。

朝鮮民族が追求する美・・・これこそ神への挑戦であると僕は思っている。

そして今、ドイツに立ち、朝鮮の美とは全く異なる背景から生まれた美と向き合った。

そもそも宝物とはなんなのか…。 盗賊が金に換えるためにあるのではないし、ただ単純に眺めるためにあるのでもない。 欧州の貴族たちがこれらの宝物を持つのには正当で不純な理由があったのだ。

古来からキリスト教社会の人々は、人間は学を積むことにより自然を支配できると考えていた。 その教義を踏まえ、次々と芸術が生み出されてゆく。そして宝物はいわゆる「小宇宙」として捉えられてきたのだ。

小宇宙を所有する貴族たちは、宇宙を創造した神と近い存在であるという「位置づけ」を作りたかった。 それを所有することにより、貴族が一般ピーポーとは別次元の生き物だという世界を創りたかった。

よってそれらは、貴族にとって「よりしろ」のようなものであり、更に言えば「権力主義を象徴したモノ」であった。 神器的な物質を所有すれば神に近づけるという、安易で腐れた精神…。そしてそれらの悪念を包み隠し、それでも余るほどの美しさを持っている宝物… 

出生背景の愚かさ、それとは裏腹に輝くその煌びやかな姿・・・僕はそれらを眺めながら感じた・・・。

貴族たちは、実存を考えることなく、宝物によって権力のみを得てきた。つまり、自分を自分で創造することもない人生をおくってきたはずだ…。 ああ、人間は今も全く変わっていない。 物質に支配され、権力社会で権力を得る事しか考えていない。

権力社会がそうさせるのか、それともキリスト教の教義がそうさせるのか、それてもキリスト教の教義こそが権力主義を意味しているのか…。


そもそも、神を権力と理解していいのか。


美というものの中に魂を感じることがある。 その魂に権力を結びつけたのは人間の愚かさ以外の何者でもない。 西洋の宝物が持つ美の位置づけは単に神の名を借りた権力主義者の暴挙ではなかろうか。


美しさは神聖である。


そしてその神聖を利用し、汚しているのが権力主義であることは間違いなかろう。 ああ、美を愛と受け止めたい。 権力から生まれた美に対し、その物質から人間の愚かさを抜き去り、神の慈愛として存在させたい。

権力者の手を離れて、はじめて宝物は本来の美を放つ。
人間のエゴによって生まれた美を愛に昇華させるのもまた人間である。 Green Vaultの美よ、魂よ、あなたたちを眺めている全ての人間たちに愛と哲学を・・・。

ヨーロッパ最大のパズル 聖母教会(フラウエンキルへ)


頭の中は、この映画のフラッシュバックで忙しい。 この映画に出てくる景色を発見したり、草原の中にレンガ建築の入り口の残骸のようなものがまだ残っているのを見ると、物凄い憂鬱になるのだ。 もともと、この辺りに草原なんてないのだ。 プラハの様にびっしりと建物で埋め尽くされていた街だった…。 それなのに…。


さて…適当に入った店…。 財布の中を見ると、昨年余していたユーロがそのまま入っている。 多分メシくらいは食えるだろう…。 オープンテラスに腰掛け、店員を呼んだ。

ドイツ語で知っている食べ物といえば…とりあえずフランクフルトくらいだな…。

「フランクフルト!!」 しかし、ドイツに入ったら突然物価が上がったな…。 なんでユーロ圏はこんなに高いんだ。

スレンダーなおばさんは、小さく頷き、店の中に入っていった。
あれっ、オーダーが通ったぞ…。 なんだ、意外と簡単に通じるもんだな。 おっ、出てきたぞ…。ドイツ本場の凄いソーセージが出てくるんだろうな…。 ワクワク、ワクワク…。



ありゃ?? 何じゃこりゃ…。 ダイエーにもこんなの売ってるよな…。 まぁ、見た目よりも味だからな。 いただきます!!

モグモグ・・・ んーーー・・・甘からず、辛からず・・・かといって美味からず・・・。 

何じゃこりゃ。 っていうか、ドイツこの野郎!! 

ああ、そうか…これはまさにメシの不味いプロテスタント文化圏に入ったということで理解すればいいのかな??

トマトだけは目が覚めるほど美味しいな。 トマトだけ!! あと、皿がチェコとは違う!! 何だかマイセンっぽくていい。(マイセンはここから目と鼻の先) 

他に褒めるところなし!!




首を限界まで上に向けてフラウエンキルへの天辺を眺めている。 100メートルくらいあるなこりゃ…。 とにかく馬鹿でかい。 

1743年建てられたこの聖母教会は、ルター派(プロテスタント)の教会だ。 映画ドレスデンでは、主人公が爆撃の後、街を見るためにこの聖母教会の天辺に登り、焼け爛れた街を見て愕然とするシーンがある。 



この建物は爆撃後、911のワールドトレードセンターのように暫く耐えていたが、次の日、建物の一部を残し、跡形も無く崩壊した。



そして瓦礫になったこの街の再建が始まった。 それはヨーロッパ最大のパズルと呼ばれ、世界中から基金が集まり、復旧作業は今も尚続いているのだ。



聖母教会の入場料は1,000円近くするが、恐らく復旧代金も含まれているのだろう。 ドレスデンのシンボルタワーの復旧に僕も協力したいので、チケットを購入し、さっきからこの教会の天辺に向かい、汗だくで登っている。 とにかく、最後になるにつれて道も急になるし、階段もはしごの様に急なものになる。 高所恐怖症の僕には物凄く辛いものだが、必死に登っている。



スッゲー!! 苦労した甲斐があった…。 絶景じゃないか。 ドレスデン一望だ。 随分復旧が進んでいる。 世界一美しい街といわれたこの街…。 もう少しで昔の姿を取り戻しそうだ…。



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