ミュゼ・ルーブル

 またモンマルトルに朝が来た。 夜があんなに長いのにちゃんと朝が来る・・・。 縦長の窓を広げ、この美しい街並みを見下ろしながら深呼吸している。 ああ、今日もしっかりと焼きたてのパンの甘い匂いがする。 ベーカリー♪ ベーカリーーぃ♪

今日は背広を着て外に出ることにした。 河崎君が「今日こそ星が付いたビストロに・・・」と毎日言っているのだ。 勿論そういう店はドレスコードがあり、Tシャツ一枚とジーンズでは「ノーンメルシー」つまり追い出されてしまう。

今日はまた違う道を歩いている。 ごつごつした石畳の道には随分慣れたのだが、まだ初めて見るストリートを見るたびに美しさのあまり感嘆のため息が出る・・・。 全く言葉で形容できないので、ついにため息になってしまったらしい・・・。

またカフェに入ってクロワッサンとエスプレッソを頼む。 「朝だから」という理由を付けてでもパンが食べたくてたまらない。 美味いけど高いなぁ・・・朝食だけでいつも1,000円近く払っている。 日本人という悲しい性か・・・ユーロ高に呪われ続けている・・・。

サントトリニテ教会に着いた。 「サントトリニテ」とは、「聖三位一体」のことを表す。 宗教嫌いだからあまり知らないが、要するに、キリスト教でアレされている3つのアレを一つの神としてアレしているという意味だ。(さっぱり分からんし・・・)

「すーちゃん、もう9時半だね。タクシー使おうよ。ヤバイって、見る時間なくなるよ!!」 河崎君が少しあせり始めた。 何を隠そう今日はルーブルに向かっている。 

此処に来るために、生きてきたと言っても過言じゃないぜ、ルーブル、ルーブル・・・
マーブル、ファーブル、アンタッチャブル!!!

イヤーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!! スカイハーーーーーーーイ!!!! スカイ!!!!  マロニーちゃんが倒れてます!! マロニーちゃんが倒れてますね!! マロニーちゃんが!! 誰がこんなことしたのかしら??

ファック!!

↑よく考えたら、この"くだり"いらんやろ??

いらんよ。 いらんって言い始めたら何もいらんよ!! この紀行文だって、この母なる星、地球だって全部いらんよ。

この脈絡のない心の叫びをPHP研究所さんは60パーセントカットしたぞ!!
今になって感謝している。有難うございます。(ぷっ・・・)

黒人のドライバーが運転するポンコツタクシーに乗り込んだ。 ヘイブラザー!! 座席にもたれて一言「ジュヴトレ〜、ア、レア、ミュゼ・ルーブr」

黒人は信用できる・・・全く遠回りをしようとしない。 美しい目をしたまま一気にルーブルに突き刺さるようなルートでパリをぶっちぎる。

黄土色が美しく、重々しい石造りのアーチを潜ると目の前には夢に見たルーブルの建物と何かと物議をかもすガラスのピラミッドが・・・。






キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!




気持ちいい!!
超気持ちいい!!!!

ピラミッドの地下にルーブルの入り口がある。 この美術館はドノン翼(DENON)、シュリー翼(SULLY)、リシュリュー翼(RICHELIEU)の3ブロックに分かれている。 

有料の電子美術ガイドには「KOREAN AIR」のロゴが光っている・・・。 目立ちたがり屋さんだな朝鮮民族は・・・。(ヒトの事言えるかチョッパリ)

それを首から提げ、スタンバイオッケー。 

もぅ俺たちを止めることは出来ない。蒸着なのか、赤射なのか、焼結した感じ。 まさにそれだ。
よし!! まずはDENONだ。 我々が一番初めに見たい絵画は勿論、も・ち・だ・か・お・り「Every Little Thing」の全盛期だ。(変な歌い方になる前ね)


ほら!! 突っ込む人もおらん程スベっとるみたいになっとるやん。 ちょっとやりなおそう。


よし!! まずはDENONだ。我々が一番初めに見たいのは勿論、も・み・じ・ま・・・「もみじ饅頭!!」だ。(略してモミマン!!うぁあ!!卑猥だし略さないほうがいいよ絶対!)
http://www.aa.alpha-net.ne.jp/usaco3/momiman/


真面目に書こうやsuuちゃん・・・


僕たちはモナリザに向かって早足で歩いている。白く美しいギリシャ時代の彫刻を足早に通り過ぎるこのゴージャスさ・・・。 化膿姉妹のような虚構のゴージャスではない・・・
これぞ真のゴーヂャス。

早くモナリザを見たい!! 僕だけにそっと微笑んで欲しい。

この美術館の赤い壁には沢山の名画がかけられている・・・うぁっ、パッと見ただけで名画がゴロゴロあるよ。 感嘆と共に、髪の毛が猫のように立ち始めた。 とんでもない所に来てしまった。

なんだろうココは・・・。私の想像を凌駕している・・・。恐らく一つ一つ見ていたら丸一日かかってしまう。 

遂にモナリザの部屋に入った・・・。

うぁっ・・・ うぁっ・・・
うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!


モナリザだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!


モナリザ・・・嘘だろ・・・俺は今、モナリザを見ているのか・・・。

何度も何度もモナリザを凝視し、河崎君と話した。


「一日かけて、全部見よう。ここでお互い離れて、心いくまで芸術に溺れよう」


河崎君も同じ気持ちだった・・・。

結局2時くらいまでぶっ続けで芸術に浸ってしまった。 腹が減ったので河崎君に電話してみた。すると河崎君は「サモトラケのニケの所に戻って来い」と言ってる。「えっ・・・今俺どこに居るのかわかんないよ・・・。」

そう、ルーブルはハンパじゃなく広いし、今まで味わったことのないかなりの迷宮なのだ。 勿論日本語の地図は渡されるが、少ししか役に立たない・・・。

とにかく行きたいところに行くのが難しい・・・。

結局館内を40分駆けまわり、何度も河崎君に「ちょっと待ってね・・・俺は何処に居るのかしら・・・」と連絡し、ようやく翼を広げたニケの下に寂しげに座っている河崎君にたどり着く・・・。

ヘロヘロになりながら「カルチエラタンのビストロに行こう・・・」といいながら、二人でルーブルを抜けた・・・。 タクシーでカルチエラタン(ノートルダム教会の近く)に行き、ビストロで昼食を摂っている。

この昼食が次の日、河崎君に襲い掛かるとはこの時予想できなかった・・・。

パリとは・・・

タクシー飛ばせよもっと・・・間にあわないよ!!  いや、まてまて。 このままではダイアナになってしまう。 ゆっくりでいいよムッシュー。(どっちだよ)

タクシーは女性の家の前で停まった・・・。 2分くらい過ぎている・・・。

教えられたとおりにインターホンを操作して・・・。 

ブーっ

「こんばんわーちょっと遅れてすみませんでした〜」

「(インターホンのマイクから)入ったら右にエレベーターがあるのよ。 2階だからそれで上がってもらえないかしら」

エレベーターを降りると扉が半開きになっており、まるでモデルみたいに腰に手を当てた女性が斜に構えて我々を見つめている・・・。  おお、美しいマダム・・・。

しかしなんて豪華なマンションだ・・・。 一等地・・・ しかも歴史ある建物。

「どうぞ入ってらっしゃい。 あっ、荷物はここに置いたほうがいいわね。」

荷物の置き場所を指定され・・・「あなたたち、手を洗いたいんじゃないかしら??」 手を洗ってくれということだな・・・ジャブジャブ・・・。

部屋にはあちこちにアロマキャンドルが何本もつけられており、アジアンテイストな家具や書が並んでいる。 

これはヤバい・・・何かの宗教か・・・?


僕も河崎君もとっさにそう思ったのだ。

しかし、待てよ・・・ここフランスはカルト宗派に厳しい国だよな・・・。 あまりにもいい香りのハンドソープ・・・手を洗いながら思った。 まぁ、どんな事が起ころうが切り抜けるスキルくらい持っとるわい・・・。  

思い出す19の頃、田舎のヤ*ザの事務所に呼び出されて正座させられ「殺すぞ」って脅されたことがあった・・・ ああ、あの時は何も切り返せず黙り込んだ・・・。(あの時は僕も悪かったんだけど・・・)しかし今の俺は違う。  韓国と満州で充分な修行を積んできた・・・。  そう、昔の俺じゃない。

あれっ、足元に一匹の猫がまとわりついてきた。 丸々とした目でこちらを見ている。
なんだ・・・カワイイなぁ。

「バーナビー!! こっちにいらっしゃい!!」

ああ、バーナビーっていう猫なのか・・・。 女性は一生懸命料理を作りながら、「バーナビーっていうのはフランス語でワサビっていう意味よ!!」と教えてくれた。 

僕たちは広い部屋に通され、高級なソファーに座り、窓の外の赤いゼラニウムを眺めている。 7時を過ぎているのにまだまだ陽が暮れる気配がない・・・。 ああ、なんだかこんなにいいソファーに座っているのに・・・ 全く落ち着かない感じだ。  場違いな場所にいるような感じで・・・ 真空管のオーディオから流れるのは清らかな「アベマリア」・・・。 

なんて雰囲気だ。 今まで味わったことのないこの緊張感・・・。

部屋の片隅には祭壇のようなものがある。 香炉ではなく、青磁の茶器などを使っており、僕が見慣れている儒教、道教の祭壇ルールとは全くかけ離れている・・・というよりも・・・これは祭壇ではなく、ファーイーストチックなオブジェだな・・・。 

なるほど・・・この方はカルト宗教ではないな・・・。


ニャー。


バーナビーが僕に頬擦りする・・・この猫はブリティッシュショートヘアーという種類のネコだ。 顔が大きく、動きがゆったりで落ち着いている。 ああ、なんて可愛らしいのだろう。

僕は女性の真似をして「バーナビーこっちにおいで!!」と言ってみた。
しかし目線すら合わせず、こっちに来る気配も無い・・・だから猫は好きだ・・・。

女性が白い皿に何かを盛って来た・・・んっ?? 何だろう??

キッシュじゃないか!!  いゃあ・・・これは本当に美味い。 女性は「日曜日はお酒を飲まないのよ。 だから今日はワインを切らしているの・・・」と言いながら、フランスのビールを注いでくれた。 

コイツは・・・「クローネンブルグ1664」だ・・・。 お味は、ハイネケンより少しライトな感じだろうか・・・香りはそこまで高くなく、喉越しもドイツビール程はない・・・。 よく考えれば、フランスはドイツが嫌いな国だから・・・ビールの味が最高でなくても仕方あるまい・・・。 日本人がいつまで経っても美味いキ ムチを造れないのと同じだ・・・。  文化やその背景愛さないと、いいものは出来ないのだ。(何を偉そうに・・・)

かつてフランスの北東部で「アルザス」という地帯がドイツに占領されていた頃、此処フランスにビール醸造が根付いたらしい。  アルザスといえば比較的辛口の白ワイン生産地で有名だ。  またそれとは逆に、ドイツ南西部(アルザス寄り)のバーデンという街は、ドイツにおいて最大のワイン生産地である・・・。

最近は国境をまたぎ、アルザス(仏)とバーデン(独)の生産者同士が共同で作ったフュージョン「特別銘柄ワイン」まで現れるという珍事まで起こっている。

ワインのボトルには必ず国籍が書いてあるのだが、何と書いてあるのかが気になる。「フラマニー」だろうか「ジャランス」だろうか…。

次の料理はアヒル肉のサラダだ。 河崎くんは「なるほど、アヒル肉にバルサミコの味だけで・・・凄い!!」と言っている。 そしてさらに茎が付いたままの緑色の木の実が大量に入ったサラダが続く。

僕があまり量を欲しがらないので、女性は河崎君に山のようにサラダとアヒル肉、そして緑色の実を入れる。 河崎君はクローネンブルグを沢山飲んでいたので、次々に盛られる野菜に対して顔が「もう腹いっぱいだよ・・・」モードになっている…。

河崎君は木の実の"茎"をグラスの近くに静かに置いていた。  すると女性が一言。


「その茎はコースターの上に置いたほうがいいわね。」



さすが上流階級!! マナーに厳しいぞ!!!。(笑)



次はナスビだ…。 ナスビほぼ丸一本…。 お腹破れちゃうよ…。
しかし、これは美味い…。美味いぞ。 オリーブで程度よく揚げて、塩と何かのエキスで味付けされている。

日本では、[フレンチはソース文化だ」と言われている。 この国には定番のソースでもマヨネーズを筆頭に200種類近くあるらしい。(恐ろしい)

果たして、本当にこの国はソース大国なのだろうか…。 いや、待てよ。

それよりもっと感じるのは、素材の味を引き出す料理法だ。 さっきのサラダにしてもそうだ。 ドレッシングなんか殆どかかっていない。 適量なオリーブオイルとバルサミコだけだ。

ひょっとしてこの国の料理は、野菜の味で勝負してないか・・・??
この国は農業国だったのか・・・ということをはっきり認識し始めた瞬間だった。

女性はおにぎりも作ってくれた。 ひょうたんの形をした可愛いおにぎり。 

河崎君は女性の正体を暴こうと、さっきから巧妙な話術で女性に罠を仕掛けている・・・。 河崎君の興味は「そこ」にあるようだ。 女性は依然、自分の正体の核心に触れようとすると、するりとかわす・・・。 分かったのは、娘が国際弁護士って事くらい・・・。

女性は断片的にではあるが、ついに昔の自分の事を語り始めた。

「30年前かしらね・・・私は日本に・・・まぁ嫌気がさしたっていうか、その当時は少なかったんだけど、フランスに一つの希望を抱いたわけよ。 そして誰もが反対する中、この街にたどり着いたわ。」

カッコイイ・・・。

「そしてそして??」 僕は目を丸くして聞いている。

女性「貴方たちもこの街に来て色んなものを感じて行けばいいわ。」

僕「僕たちはこの街に来て、今日本当に心臓を掴まれたような気分になっているんです。 つまり、パリをナメていました・・・。」

女性「そう・・・ところでアナタたち、これからどうするつもりなの??」

河崎君「二日後にベルギーへ行きます。そして次にアムスに行く予定です。」

女性「ベルギーまではいいのよね・・・。でもオランダになってくると、なんとなくゲルマンゲルマンしてきて私はなんか嫌だわ・・・。

なんとなく分かる。ベルギーを越えると、プロテスタントが多くなってくるしなぁ。
カトリックに比べてプロテスタントは質素な食事を好む。 グルメで食いしん坊のフランス人にとっては食の不毛地になるからかなぁ・・・。  

それとも、ただのフランス特有の感情的なゲルマン嫌い?? ラテンなら、まぁ受け入れるけど、ゲルマンには反吐が出るというプロイセンから続く恨み・・・。 

ゲルマンとの「境界線」をハッキリ感じる一言だった。

気が付くと窓の外は日が暮れ始めていた。 3時間くらいここに居るんだろうな。 夕焼けが反射する隣の建物・・・。 日本の夕暮れとは違う、黄色に紫が混じったようなエレガントな夕焼け。


やがて完全に日が暮れて、女性と僕たちはろうそくの光だけで会話している。 この女性との、楽しくたわいもない会話の中で感じたことがある。 


それは女性から漂う、心を引き裂かれるほどの「郷愁」の念だ。


僕も韓国に憧れ、青年期のほぼ全てを韓国に捧げたといっても過言ではない。 この方も同じなのか・・・ 全てを此処、パリに捧げたのだろう。 なのに女性は何故こんな目をしているのだろうか・・・。 何故こんなにも我々を愛しげに見つめる目をしているのだろうか・・・。

僕は幸い、韓国という隣国に興味を持ち、日本の汚い部分も、よい部分も全てが見えてしまい、日本での生活にメリハリが出た・・・。 


しかしフランスは遠すぎる・・・。  遠すぎるよ・・・。



日の暮れたパリを河崎君と歩いてモンマルトルまで帰っている。 河崎君との会話はあの女性の「心」についてだった・・・。

何故か僕たち二人は、同じ事を感じていた。 潰されるほどに偉大なパリと、実はそれに決して負けていない・・・


我が祖国の真の魅力・・・。


ああ、パリよ・・・この街は我々に何を言いたいのか…。


suuちゃんはこれから一年後に、この女性と何度も連絡を取り合い、日本で一緒に「ほのぼの旅」をするほど縁深くなってしまいました。 

やはり思うのは、人間って年齢ではないな・・・という事。 確かに年齢による経験値や社会的地位はベラボーに変わってきますが、最終的には「何を感じ、何の為に生きているか」という魂の部分になってゆくんですよね・・・。 その中で、この女性とsuuちゃんは何かしら通じ合うものが多いのか、年齢を超えた親友、そして師匠になってしまいました。

プライバシーの為、書くことが出来ませんが、実はこの女性・・・フランスでも日本でも「超」お偉いお方だったのです・・・。 あまりにも恐れ多いのでこの辺で・・・

フランスの黒人


エッフェル塔の下から天辺を眺めている・・・。 鉄格子の間から漏れる青い空の光がたまらなく美しい・・・。 「シャンシャン」という鈴のような音と共に貧しそうな黒人がエッフェル塔のミニチュアを売りながら歩いている。

ひとりの限りなく真っ黒に近い黒人が僕の前で立ち止まり、美しく丸い目で僕の目を覗き込んでいる。手には丸く大きなリングに何個も繋がれたエッフェルのミニチュア。 それを上下に振りながら「シャンシャン」と音を鳴らしているのだ。

僕はその黒人を無視しているが、黒人は僕の心の中を見るような美しい目で僕の目を見続けている・・・。 


何ていう目で見てるんだ・・・。


この目は本当にヤられるよな・・・。 黒人の目力というのは、韓国人、中国人が重要としている攻撃的で鋭く華麗に相手を魅了する目力とは逆であり、丸腰なのに恐ろしい破壊力を持っている・・・。 


つまり、この黒人の目力は、「愛」を生む・・・。 一方韓国・中国の目力は妖艶であり結果として「偏愛」を生んでいる気がする。

しかし、巴里という世界は「偏愛博物館」のようなものだ・・・。 その中に現れた黒人は天使なのか・・・。 

この街の天使は「黒人」なのか??

そういう論理が僕の中で肥大化し始めた・・・。 妄想にふけっている間に黒人は立ち去り、河崎君ともはぐれてしまった。 お互い携帯持ってるから大丈夫だけどね・・・。

河崎君も難なく見つかり、一緒に目の美しい黒人を探している。「あの黒人から買いたい・・・。」パリに来てからずっと感じていることがある・・・。 黒人の美しさだ。 ニューヨークでは感じることの出来なかったパリの黒人の美しさ・・・。

パリの黒人女性はスタイルがよく、コ洒落ていてなんともいえなくモーレツセクシーだ。 その黒光りする肌に触れ、その濡れた唇を触りたくなるほどだ。 こんな気持ちになったのは初めてだ・・・。 黒人とハ*たい・・・。(オイオイ脱線しすぎだろ)

時計を見ると6時50分近い・・・うう・・・あの黒人は見つからない。 セレブ女性が待ってるし・・・二人はエッフェルの前でタクシーを拾い、エリゼ宮の近くに向かった。

飛ばしてくれTAXI!! リュックベッソンのTAXI並に!!!

パリの空の下



僕と河崎君は「じーーっ」とオランジュリー美術館を舐めるように鑑賞した。 そろそろ出ないと女性の家に行く「7時」に間にあいそうもない・・・。 しかし、興奮して血が登った頭を急速に冷ますことなんてできやしないのだ・・・。

何故ならこの美術館には・・・名前を書くのも恐れ多い先生方である・・・モネ、ルノワール、モディリアニ、セザンヌ、ピカソ、ユトリロ、ルソー、ドラン、シスレー、マティス、ゴーギャン・・・などマジで、マジで凄い人々の画が


ドーーーーーン



と置いてあるのだ。


シスレーとユトリロ・・・ユトリロにパリを夢見させられ、シスレーとモネに印象派の極意を叩きつけられた・・・。 そしてセザンヌ・・・。(河崎君はモディリアニとピカソに痺れているようだ・・・やはり芸術は見る人でかなり評価が異なる生き物だ・・・)

もう、これほどの名画が自分の前に一気に現れると凄い状態になる。感性を無茶苦茶に掻き回されるのだ・・・

全てを見終わった僕らはコンコルド広場に立っている・・・。 もちろん放心状態だ。

早く言えばFUCK「された」感じだ。 AV女優が最後にうつろなカメラ目線で言葉にならない言葉をモニョモニョ言っている「あの状態」に限りなく近い。

よだれを垂らしたような顔のまま、エッフェル塔の方へ歩いている。 セーヌ川・・・。 パリで一番美しい橋、アレクサンドル3世橋を渡りながらアンヴァリッド(ナポレオンの墓)を眺めている・・・。



パリの空の下、我々は完全に打ちのめされた。



ハッキリ言って今までパリを「ナメて」いた。 パリが「ここまで」だとは思っていなかったのだ。 僕と河崎君・・・二人はアレクサンドル3世橋の上でセーヌを眺めながら、もうどうしようもない気分になっている。


上質を知ってしまったのか・・・。



二人は「凄い」と形容するだけでは物足りないのに、とにかく「凄い」と言い合っている。 言葉になるはずがない・・・。 あんなものを見たのは生まれて初めてだもの・・・。

エッフェルが大きく見えている。そちらに向かって歩いているが・・・そうか・・・このアレクサンドル3世橋から少しエッフェル寄りの地下道でダイ アナが死んだんだったな・・・。 ニュース速報を見た時、遠い外国の話しながら、ショックを受けたのを覚えている。 その「遠い外国」を今自分の足で踏み しめている。 ダイアナが死んだこの場所を・・・。

二人はそんな「凄い街」をもくもくと歩き始めた。プジョー207が石畳の上を走っている・・・。 エッフェル塔が近くに見えるのに、なかなか近づ かない・・・。 ついにエッフェルは建物の陰に隠れて見えなくなってしまった・・・。 それでもエッフェルの方向に歩いている・・・。 

気付けばモンマルトルから凱旋門、コンコルド、エッフェルまでずーーーっと歩いている。 直線距離で7キロか・・・遠回りしながら道を歩いているから今の時点で恐らく歩行距離10キロは軽く超えているだろう・・・。 

思えば韓国も中国も歩いて、歩いて、歩き倒して極めてきた。 そして「欧州パリ」も同じように歩き倒している・・・。 しかしパリは歩くのに適し ている。 町並みが美しく、休憩できるオープンカフェがある。 道中で例えると茶屋で団子を食べてまた道中を再開するようなそんな旅路を構築できるのだ。 まさに「東海道中膝栗毛」状態だが、我々はホモではないので・・・。

遂にエッフェル塔が目の前にズボーーーンと現れた・・・。 夏に一度溶けた後、固まったチョコのような色だ。
もっと近づこう!! 

セザンヌ

今、僕の目の前にセザンヌがいる・・・。物凄く神経質で、物凄く頑固者で、物凄くヒッキーで・・・。 とにかく芸術を爆発させた人だ。

ところで僕は芸術の為の芸術が嫌いだ。

かつて僕が好きなセザンヌはこう言った。

「自然を円筒形と球形と円錐形によって扱いなさい。自然は平面よりも深さにおいて存在します。そのため、赤と黄で示される光の震動の中に空気を感じさせる青系統を入れる必要性があるのです。」


これは凄い言葉だと思う。 「目の前の世界や他者の芸術、そして周囲のウザい奴等に私は窒息してますよ」と言いたいと僕は解釈してしまう。


よく想像して欲しいのだけど、この言葉を聞くと、彼が自分の目で色んなものを見ながら、世界をバラバラに分解して、それらを愛撫しながら絵の中に再構築している様子がよくわかるのだ。

つまりセザンヌは社会に生きているのではなく、自分の体内で息をしていて、自分の外で窒息しているような気がする・・・。

全ての画を見ていて分かるが、セザンヌの絵には入っていけそうな気がする。 これは、セザンヌが「これなら入ってもいいよ」という世界に対する願いを込めて描いているからではないだろうか・・・。



それを感じるとき・・・芸術に泣けてくるのだ。 


つまりセザンヌは社会を自分の理想に変えることによって、そこに住みたがっているような気がする。 そして僕はセザンヌの絵の中に住みたがっている。



物凄くこの人の気持ちが分かる気がする。 社会って本当に窒息するよな・・・。 クソったれの世の中だ・・・行くぜロケンローって感じ。


セザンヌはよく、キュビズムやフォービズムの親の様に言われる。

しかし僕は全く違う事を感じている。

セザンヌは芸術を至上とした考え、または画家の苦悩逃れによる快楽描画の言い訳に利用されただけだ・・・と。

なぜセザンヌが利用されやすかったかというと、彼の特徴である「社会性のなさ。つまり悪く言えば人格破綻」が快楽描画という「楽」の芸術を論理付ける為に最適だったからではないだろうか?

しかし僕はセザンヌの画を見ながらそれを物凄く悔やむ。


この人は決して「楽」を描いていない。


キュビズムが嫌いと僕はいつも言う。 しかしピカソの絵は好きだ。 これを矛盾という人は言えばいい。 僕はピカソのキュビズムに感心するが、これらは生きる苦悩を描いていない。 つまり、人間性に背を向けた芸術とはこのことだ。 



僕は芸術に愛を求める。



キュビズムに心を掴まれる事はないのだ。 もし心を掴まれているのならば、それは自ら画を描く人間だけだろう・・・。

今はこう感じているのだ。 セザンヌの絵の前で彼の複雑な愛の結晶に涙が出てきたのだ。

モネ

ミュージアムパスをスーツ姿の黒人にかざすと「どうぞ、どうぞ旦那!!並ばなくていいんですよ、コイツらビンボーなアメリカ人団体観光客とあなた方は格違いです!!」ってな対応。 

もちろん並ばず、胸を張り、団体客の横を薄ら笑いで中に入ってゆく。まるで高須クリニックの理事長のような気分だ。

日本語ガイドを耳に掛け、いざ睡蓮の部屋に入る・・・。 ちょっと待って・・・緊張する。 モネが目前とか、夢じゃないの?? 本当に河崎君には悟られたくないけど、ドキドキして凄い状態だ。 入る前から「生きててよかった」と思っている。 

実はこの美術館、1999年8月から改装のため休館が続いていた・・・しかし2006年5月、長きの沈黙を破って再オープンした・・・。 もし6 年早く来ていたら見れなかったのだ。 そんな事を考えると本当にこの時期にパリに来てよかったよ・・・。「印象派」好きなら失神する程の美術館・・・モネ が死ぬまで筆を入れ続けた睡蓮・・・。(本当に泣けてくる)

ゆっくりと第1の部屋に入った。 もぅため息しか出ない・・・。
滲み出そうな熱い涙とため息だ・・・。


本物の睡蓮の前に立っているなんて。 本当にもう言葉にならない・・・。 印象派が好きな人なら分かると思うが、この光の表現、この画を超えた瞬 間の描写力・・・。そしてこの愛に満ちた魂震わす筆の動き・・・。 もぅ、これは地球のものではない。 人間はこういうことが出来るのだ。息苦しいほどの 嬉しさに包まれている。

今、モネの睡蓮に包まれている。 恍惚といえば良いだろうか・・・。 それ以上ならば何と表現すれば良いのか・・・

モネはオランジュリーに対し、「自然の陽光が充分に入る美術館にして欲しい」と望んでいた。 この画の発色は「陽光」で見て欲しいとモネが言っているのだ。

オランジュリーは改装され、充分な陽光が射している。



ちゃんと見えているよ。 モネ先生・・・。



この美術館、睡蓮だけではない。 下の階に降りた僕と河崎君・・・。当たり前ではあるがお互い微妙に芸術観のツボが違うので、画を見るときは別行動をしている。 こういうものは自分のペースで見るものだ。

互いに鑑賞しないのがフランス式。

オーガズムに達した後の僕の目の前に、更に追い討ちをかけて僕を刺激する恐ろしいものが現れた・・・。 口が開いてしまった・・・。 まさか・・・まさかここで貴方に会えるとは・・・

僕は心の準備が全く出来ていなかった。 突然殴られた感じでよだれを垂らしそうな放心状態で立ち止まっている・・・。


せっ・・・セザンヌだ・・・。

コンコルド広場


シャンゼリゼを1.5キロ程歩いただろうか・・・。 インフォメーションセンターの建物を発見。 モナリザが微笑むミュージアムパスを買った。

5000円位するのだが、これを持っていれば2日間限定でパリの様々な美術館入ることができる。 しかも「並ばず」にだ。 こうやってジャポネーゼらしく"金にものをいわせて突き進む"のも愉しいやん・・・。

早速パスをポケットに入れ、コンコルド広場に向かって歩いている。 道の途中に、簡易観客席のようなものが作られている・・・。 何だろう・・・。

河崎君「すーちゃん、これはきっとツールドフランスの観客席だよ」 

そうだ・・・ツールドフランスのゴールはシャンゼリゼだと聞いたことがあったような・・・。つまり一番盛り上がる場所がここなんだ。

ついに僕たちはコンコルド広場に立っている・・・。

ついに近代フランスの中心地に立った・・・。 ここは、革命広場。 ルイ16世とマリーアントワネットが首をはねられた場所だ。

広場の中には紀元前にエジプトで作られた「オベリスク」が堂々と立っている。 これは1833年にフランスに持ち出されたらしい・・・。

色々と考えながら広場を眺めている。 なんだか血生臭く感じるのだ。ここで革命中何百人もの人の断首が行われている。 ああ、血生臭い・・・。 想像しただけではやく立ち去りたい。

チュイルリー公園に到着し、オランジュリー美術館が現れた。 ここは我々が尊敬する「モネ先生」の睡蓮が見れる美術館だ。 

今まで夢に見てきた「ここでしか見れない美」を今から生で見ることになる。 最近、何を見ても興奮しないのに鼓動が早くなってきた・・・。 

えっ??本当に?? 本当にモネが見れるのか?? そんな馬鹿な・・・。 夢にまで見たモネの「生絵画」が目と鼻の先なんて・・・そんな馬鹿な・・・。 マジで見れるのか?? 


オイオイかなり緊張してきたよ!!!!!!! やっべーよ。

シャンゼリゼのパテ


♪オーーーシャンゼリゼー、オーーーシャンゼリーゼーーー!!

♪いつも 何か 素敵な ことが あなたを待つよ Oh シャンゼリーゼ〜!!

さっきから河崎君と一緒に歌いながらシャンゼリゼを歩いている。 ♪マカロン ヴィトン シャネル プラダ 何でも揃うよ Oh しゃんぜりぜー♪(歌が止まらなくなってきた)

「河崎くん、美術館今日いこうか??」
「そうやねー、早く行きたいね〜」

二人は名画に噛り付きたくて仕方ないのだ・・・。 それもそのはず、この二人はデザインの話や絵画の話・・・とにかく芸術の話になるとお互い引かない。 

かなり話が長くなるし、ムツゴロウさんのように必要以上に情熱的に語り合うのだ。だから周りの人間は「狂っている」と思っているみたいだ。

そうですよ。狂っていますが何か??

お腹すいたなぁ・・・

シャンゼリゼのビストロ発見!! ここなら凱旋門を見ながら食事できるなぁ・・・。 ムッシュが入っておいでと手招きしている。 なになに??ここは、パテでグランプリを獲ったお店?? パテ好きの僕たちは目をランランさせて入った。

それにしても出てこない・・・朝食もそうだが、フランス人って仕事が遅い・・・。 早く出せよお腹と背中がくっつきそうなんだよ・・・。

川崎君と僕は飲み物を飲みながら手持ち無沙汰な感じでボーーーっとシャンゼリゼを行き交う人々を見ている・・・。

「ゼンゼンオシャレなヤツなんていないよね・・・。」
僕はありのままのシャンゼリゼを眺めて言うと、河崎君も「なんか、もしかしたら日本人が一番おシゃレなのかもしれないよ」と言っている。

しかし遅い・・・まだ出てこないのか?? パンにパテを塗るだけだろこの野郎・・・。

1814年連合国のパリ入場の年、シャンゼリゼ通りで野営したロシア軍のコザックが、料理屋のサービスがあまりに遅いから、店主をロシア語で 「ヴィストロ!!(ロシア語で「早くしろ!!」)」と怒鳴りつけたことから「ビストロ」となったという文章を読んだことがあるが、そんな時代からまったく 変わってないフランス人って一体・・・。って思うよなぁ・・・。

待ったあげく出てきたパテのお味はもぅ今まで食べたことのない絶品のパテだ・・・。 かなり最高・・・。 フランス・・・。やるなオイ。

フランス人・・・仕事は遅いが味は最高だぞ・・・。

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