ダンケとの出会い

 

昨日登ったフラウエンキルヘを遠巻きに眺めている。 今日はエルベ河を越えて昨日見た爆撃されていないドレスデン、つまり観光地でない場所を冒険してやる。

ああ、ここからもルターの銅像が見えるな・・・。 フラウエンキルヘ(聖母教会)はプロテスタントの教会。 しかしマリアを神格化していないプロテスタントの教会なのに「聖母教会」とは何事だろう・・・。(帰国後に調べたが「フラウエンキルヘ(Frauenkirche)」を「婦人」と訳しているようだ。)



このマルティン・ルターという男は16世紀の初頭に生きた宗教者で、プロテスタントの生みの親だ。 チェコのヤンフスと同じく、ローマカトリックの堕落に悩んだ男だった。 

先に書いたが、チェコのヤンフスは十字軍の軍資金の為に、
免罪符(人間の罪をお金で消せる魔法の証書)という制度を作ったローマカトリックに怒り狂い、宗教改革とボヘミアの主権を訴え闘った。

ドイツのルターはかねてからチェコのヤンフスを尊敬していた。 そして彼の怒りの矛先はヤンフスと同じ「免罪符」に向けられた。 
1517年、聖ピエトロ教会建築のための資金繰りに苦しんでいた教会が、また当然の様に免罪符を売り始めた。 ルターは怒り狂い、神学者たちに向け「魂が救われる道は免罪符を購入することではない。 罪は罪として認め、その罪は信仰によってのみ神の恩寵によって救われる」と発言した。 そして「人は信仰によってのみ神の国に生まれ、聖書は神の道を我々に示すもの」と主張し、ローマカトリックに身を置きながらもローマカトリックを「ひとつの権力」として捉え、真っ向から批難したのだ。

しかし・・・僕が思うに、ルターとヤンフスは全く違う。 フスは、国民に向けて福音主義を訴えたが、ルターは神学者に対して訴えた。 恐らく、彼らの目論見は違ったのだろう。 純粋に宗教を改革しようと思ったのがルターで、フスは宗教改革を利用して祖国を守ろうとした。

しかし当時のドイツは農奴制を強いていたし、市民たちも教会権力からの圧力に苦しんでいた。 必然だがルターの考えはたちまち市民に利用されることとなる。 やはりここで、ルサンチマンが爆発したのだ。

まぁ、僕はカトリックだからプロテスタントの事は関係ないけどね。 今でもプロテスタントの多くはカトリックを「権力主義」と批判しているが、根本にはルターの身の回りに起きたこのドイツの世情がある。 現代のプロテスタントは、これらの世情に自分の生きる世界を重ね、生きているのだろうか・・・。



路面電車で、昨日の夜に来た街に辿りついた。 これぞ鴎外もゲーテも愛した真のドレスデンの姿だ。 ショウウィンドーを眺めながら歩いていると、ロケンロー系のアクセサリーを売っている店を発見した。 店に入ると僕と同じくらいの大きさの犬が目の前で寝ている。

店の主人は黒いTシャツにスキンヘッド、太い腕に生えている金色の体毛の下にはビッシリと刺青が・・・。 おお、これぞドイツって感じだ。 そういえばドイツは街を歩いていると、女性も男性も多くの人がファッションタトゥを入れている。 今まで行った外国の中では、確実にナンバーワン刺青大国だ。



主人はニッコリ笑って、何を探しているのだ??と聞く。 この人は最初から英語で喋ってくれる・・・。 すると突然大きな犬がムクっと起き上がって、僕の顔をじーっと見ている。 まだ寝ぼけているのだろう・・・。 するとその犬は何を思ったのか僕の足にまとわり付いてきた。 

ああ、カワイイ。 本当に物凄くカワイイのでムツゴロウさんの様にドイツの犬とじゃれている。

主人は腕を組んで感心し、「ああ、こんな事初めてだ。 コイツはいつも、お客が来ても素っ気なく寝ているのに・・・」って。 「僕は犬がスキだから・・」と言うと、「いや、フィーリングが合う人間にしかこんな事はしないのだよ」と言いながら笑っている。 どの国に行ってもそうだが、いつも犬から好かれるのは何でだろう・・・。(僕は犬のフェロモンが出ているのだろうか・・・)

本当にかわいい。 恐らくレトリバーと何か大きい犬の雑種だろうが、本当に愛しい目をしているのだ。

色んな店に入りながら気付くが、ドレスデン中心街から少し離れただけで思いっきり物価が安くなっているのだ。 小さな靴屋で革のファスナーブーツをさっきから一生懸命見回しているが、文句のつけようのない仕事をしている(ヨーロッパ製の革靴はやはり素晴らしい 革を知り尽くしている・・・)それなのに日本円で8000円くらいだ。



駐車場に入ろうとしている車に歩行を止められたが、運転手は凄く愛に溢れた顔で「ありがとう」と挨拶をする。 ドイツという国は本当に人あたりがいい人ばかりだ。 ドイツに来てからずっと感じているのだが、人に疲れることがないのだ。 これは、民度の高さと理解していいのかな・・・。

ドイツの場合は、ストリートから一歩建物の中に入ると、そこに中庭みたいな広場があり、オープンカフェがあることが多い。

カフェのそばにある小物屋の入り口で、クマのぬいぐるみが休みなしにシャボン玉を吹いている。 売られている小物類はオリエンタルなものが多い。 日本の雑貨屋はヨーロッパの小物を扱っているが、ヨーロッパの雑貨屋は逆にオリエンタルグッズが多いのね・・・。 ぶらぶら散歩は延々と続き、ドイツというものを身体に叩きこんでいくsuuちゃん・・・。



あれっ、店の中から視線を感じるのだ。 何だろう・・・ ショウウィンドーを見ると、そこはぬいぐるみの店だった。 そしてさっきから一匹の犬のぬいぐるみと目が合って離れない・・・。 

なんて目をして僕を見るんだ。 なんて目をしているんだ・・・。 

まるで僕の「カイト」な心を見透かし、心配そうな目で、じっとこちらを見つめている。 何だよ・・・。 お前なんかに俺の気持ちが分かるもんか!! 僕はまた喧騒に向かって歩き始めた。

しかし僕は立ち止まってしまった。 振り返ると、そのぬいぐるみがショウウィンドウの中で、寂しそうにしているように見えたのだ。 

ずっとそうやってドレスデンの街並みを眺めているのかお前は・・・。 お前もカイトなのか・・・。

気がついたら店の中に入り、その犬のぬいぐるみを抱きしめていた。 レジで清算をしていると、女性店員が袋に入れる前にこの犬の頭をやさしく撫でた。 僕は小さな声で「アウフヴィダーセーィェン(さようなら)」と言いながら店を出た。

 


また、駅の近くのショッピングセンターに戻ってきた。 袋に閉じ込められた犬が不憫に思えて仕方ない。 そうだな・・・名前をつけてやらないとなぁ・・・。 そうだ、ドイツに来て一番初めに使った言葉「ダンケ」にしよう。 お前の名前はダンケだ。

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