"大中華" 第二部 もんじ

祖父は寒い冬に広島から汽車に乗り、朝鮮半島経由で戦地中国に降り立った。 街に掲げてある看板の書体を見て、中国人ってこんなに綺麗な文字を書く奴らなのか!!という印象だった。

兵隊に入る前の祖父は学校の教諭をしており、その中でも達筆という事で、筆が必要な場面ではいつも借り出されていた。 そんな達筆で成らした祖父を唸らせた中国の書体・・・。

「俺は、あの時思ったんじゃが、こんな立派なもんじ(文字)を書く奴らと、戦いたくねぇなって・・・(笑)」 祖父は、作戦の地に向かう船に乗りながら、中国と戦争しちゃいかんなぁ・・・とばかり思っている。 

当時の船のトイレは個室ではなく、数メートルある丸く細い木の棒が二本あり、その上に腰掛け、棒と棒の間から溝の中に用を足すという仕組み・・・。

「仕方ないんじゃろうけど、どうしてもあの仕組みは・・・俺はどうも好きになれんでな、恐らくあれは中国の船じゃったと思うが、あんなのじゃ出るものも出らんわな!!」 (suuの潔癖症は祖父と母譲り)
しかし何日か船に乗らないと作戦の地には着かない。 そんな中、祖父は何度も凍てつく甲板の上で用を足し、戦地への到着を複雑な気持ちで待っていた。

戦地に着けば、当然のように戦闘の日々・・・。 倒れて息絶えている敵兵を眺め、その兵士の持ち物を触っていると、コロリとブリキの弁当箱が出てきた。 祖父は、「アンタは飯を食う前に撃たれたのか・・・」と言いながら合掌し、その弁当箱を開けてみた。 中身は白米の上に唐辛子の粉が振りかかっただけのものだった。 こんな貧しい飯を食いながら戦ってるなんて・・・。

祖父は、しみじみと言った。 「中国と戦争して思うのは、あんなにのんびりしてて、カワイイ奴らがさ、兵士になると必死でな、しかもどんな死生観かよくわからんかったが、笑いながら死ぬんじゃ。 あの美しい目で自分たちの国を守ろうとしている姿が忘れられん。 それが浮かぶんだよ。」

祖父が戦争中から一貫してイメージしているのは、中国人の文化は凄く偉大なのに、人はみんなカワイくて憎めない性格だということだ。 祖父は心に決めた。 戦争というものは仕方ない。 しかし俺はこの国の人たちを1人も殺したくない・・・。 むしろ、無駄な殺生が起ころうなら、身を張ってでも止めよう。 それがサムライの道じゃ・・・。 中国の兵士は戦闘服を着ていない場合もあり、ゲリラ的で危険だというマニュアルもあった中、階級も高く、隊の中での責任も重い祖父は「殺さない戦争」という一番難しい道を選んだ。

つづく 

次は 「戦闘にて思ふ」

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