凱旋門


そう。 フランスに来て、フランスに来たと実感するために一番に見たかったのがこの凱旋門だ。

僕はナチスがパリを占領したところを教科書で読んでいて、「凱旋門には美味しそうだ・・・いや美味しそうなだけじゃない!!エロスも感じる・・・」とずっと思っていた。

まるで勉強せずにそういうくだらない事を考えていた学生時代を思い出した・・・。 ああ、この道をナチスが・・・。

凱旋門を触ると非常にひんやりしている。 まるで初めて手を繋いだ女性の手が冷たいような、そんな感じだ。



突然凱旋門にキスしてみた・・・。



冷たい・・・。 そして僕は思った・・・「やっぱ・・・これは砂糖で出来ているかもしれん・・・そんなもん舐めてみらんと分からんやない?? 舐めてナンボのこの世界やないか?? 舐めてみたい、舐めてみたい、舐めてみたい。。。



ペロっ



ヤバい、壊れてきた。 ムツゴロウさんのように凱旋門と少しだけセッ*スしたい気持ちになってきた。 このまま全裸になって凱旋門と本格的にセッ*スを始めたら・・・。 恐らくフレンチポリスから逮捕されるだろう・・・。

そんな時は叫んでやる「聞こえるかシャンゼリゼの野郎ども!!毛皮製品反対!!!」←恥隠し

凱旋門は冷たくて固くて、いくら舐めてもずっと冷たい・・・。

いゃあ・・・凱旋門は固くて冷たいですねぇ・・・でも、ペロペロペロってしてあげるととても喜ぶんですよ〜。 カワイイですね〜凱旋門。

モンソー公園

 「はい日本人ですよ」僕は片方の眉を上げながら答え、微笑んだ。

「何処に行きたいのかしら??」
女性は僕たちを心配してくれているようだ。

「凱旋門です。確かこっち方面ですよね。」
僕は真っ青な空を指をさしている。

「そうそう。方角的には合ってるわ。 この道を歩いて行っても辿り着くんだけど・・・それじゃ・・面白くないわねぇ・・・」

面白くない?? この女性は何を企んでいるのだろうか・・・ 

「そっちの道を右に折れるとモンソー公園の大きな門が見えるのよ。 その中を通っていくといいわ。気をつけて行ってらっしゃい。 ところで貴方たち学生なの??」

「いいえ、バリバリの社会人・・・」

「何してるの??」

すー「広告代理店です。」 河崎「酒店を経営しています。」

「そうなの??学生かと思ったわ。」

「それは有難うございます。」

僕は女性の華麗な姿をじっと見ながら、「ファッション関係の方ですか??」と軽く聞いてみた。

女性「まぁ・・・そんなところね。」

やはりそうか・・・映画「プラダを着た悪魔」の人に雰囲気がそっくりだもの・・・。

「気をつけてね。」

女性は鞄を引きずりながら去っていった・・・。

「すーちゃん、あの人パリに住んでる日本人かなぁ??」

「多分そーやろうね・・・だっていかにもって感じやん」

「なんか鞄抱えてたから海外からパリに帰ってきたって感じだよね・・・」

15メートルくらい歩くと、さっきの女性が叫んでいる。 何だろう・・・。 振り返ると女性が道の向こう側に小さく見える。 そしてこっちを向いて何かを言っている・・・どうやら我々を呼んでいるようだ・・・。

僕と河崎君は走って女性のところに駆け寄った。

「一体どうしたんですか??」

「貴方たち、いつまでパリにいるのかしら?? もしよかったら今晩、家でアペリティフでもどうかしら??」

えっ?? ええ・・・喜んで・・・」

「時間は早いほうがいいわよ。 ちょっと家を教えるわ。 近くなのよ。いらっしゃい」

「はい・・・」

パリのド真ん中・・・。いかにも高級住宅だ・・・アイボリーな建物・・・特に、ここ一帯は小奇麗さが際立っているし、重厚感が増している。

「ここ辺りはナポレオン3世の要人たちが住んでいた場所なのよ。」

女性は木で出来た、高さ4メートル程ある大きな門をぎぃぃっと空けた。 その奥には更に自動門が付いていて、電子ロックがかかっている・・・。 女性は電子インターホンの操作を僕に説明している。

「アルファベットで私の名前を探すのよ。 そしたらホラ、出てくるわ。 ここで呼び鈴を押せばいいのよ。」

なるほど・・・パリの高級住宅のセキュリティはこうなってるのか・・・。 

「じゃあ、また会いましょう。ごきげんよう。」

「はい、また夜に伺います・・・。」

初めてパリの中心地を歩いたのに、突然お誘いがかかるなんて・・・。 しかも凄くセレブな雰囲気を醸し出している・・・  

歩いていくと女性がが言っていたモンソー公園の大きな門が見えた。 道の途中に馬が居るし、生えている木が日本には絶対にない樹木だし・・・。 なんて気持ちいい公園なんだろう。 パリジェンヌ、パリジャンが気持ちよさそうに芝生に寝ている・・・。

僕らは芝生に寝転がってみた・・・。 この芝生・・・この感触は日本で味わったことないよなぁ。 ふわふわの長い芝生だ。 湿ってもなく、つやつやしていて、なかなかコシのある草だ・・・。

とても気持ちいい・・・。

すこし休んだ後、公園を抜け、大きな建物の日陰を真っ直ぐ歩いていると、とうとう目の前に・・・巨大な白い物体が!!!

ロープントゥール

ムーランルージュの前にメトロの駅がある・・・。 ブランシュという駅だ。 階段を駆け下り、中を見回すが路線図もなければこれがメトロ何号線かも全く分からない・・・。 こいつはデンジャラスだ・・・。

メトロの階段を駆け上がると二階建てで二階がオープンの黄色いバスが停まっている。 これか!! これが有名なロープントゥールか・・・。(民間企業がパリ市交通公団と提携して運行している観光バス) 何も考えず衝動で乗ってしまった。

1日乗り放題おまけに音声ガイドつきで22ユーロ・・・。高いなぁ。しかし、パリで土地勘をつけるにはコイツはもってこいだ。二人はバスに飛び乗り、運転手に料金を支払った。

料金を渡すと運転手がビニール袋に入った黄色いイヤホンをくれた。 これってどうやって使うのだろう・・・。 バスの二階に上がるとパリのお空全 快!! んっ??なんだろう。シートの横、手すりの下にイヤホンジャックが無数に空いている。すぐにイヤホンを差込み、ボタンをカチカチ押して日の丸印の チャンネルに合わせる。すると突然シャンソンが流れ始めた。バスが動くと壮大な景色も流れる・・・。 イヤホンから日本人のおじさんの声でパリの案内が始 まった。

こっ、こいつは面白い・・・。 有名な建物、有名な通りに差し掛かるとここで起きた歴史上の事件等、かなり詳しく"パリ歴史案内"が流れる。 これは本気で勉強したい人にも満足いく「ちゃんとした内容」だ。

特に面白いのが"パリの下水"の話だ。昔のパリは映画「パフューム」でもわかる通り、悪臭に満ちた街だった。 悪臭を放つ露出した下水溝のためコ レラなど疫病が流行していたのだ。そんな1850年以前のパリは中世の都市の構造のまま人口が急増し続けていた。(200万都市に近づいていた)

そんな中、ナポレオン3世が「この臭いパリばどげんかせんといかん」と言いながら、1853年から1870年にかけてセーヌ県知事と一緒にパリ改造工事を行うことになる。 こうして人口200万人のパリはどんどん清潔な街になってゆき、花の都に至る・・・ってなわけ。

今朝流れていた生活廃水もとてもいい感じで流れていた。 モンマルトルが坂だからよく流れるというのもあるだろうが、今見下ろしているパリ中心街でも同じように排水がさらさらと歩道と車道の間を小さな川の様に流れている。

パリ北駅を過ぎ、今オランピア劇場の前を通っている。僕が愛してやまないEdith Piafがかつて立っていたステージだ。丁度「群集」を歌っていた頃だ・・・。そんなオランピアを見ただけで胸がいっぱいになる。 

バスはオペラを通り越し、教会が見えた。なんて美しいんだ・・・。 この真っ直ぐに伸びた分かりやすい道も"パリ改造工事"によるものだ。つまり これらのパリの景観は1853年から1870年にかけて出来たものだということをこのバスに乗ることによりはっきりと理解できた・・・。 

このナポレオン3世という男はなんとなく他人とは思えないのだ。 何故なら、同じ「腎臓結石の苦しみ」を味わった人なのだ。 そういえば横でカメ ラを構えている河崎君もそうだったな・・・。 石造りの街と石に悩まされた3人(ナポレオン3世、河崎君、すーちゃん) パリは石三昧だよな・・・。

バスは一周してしまい、モンマルトルに帰ってきてしまった・・・。 僕たちは「しくじった!!」と叫び、急いでバスを飛び降りている。

歩いてパリの中心に行こう・・・。 フラフラとのんびり歩きながらパリの中心を目指し始めた。 なんとなくどの方向に行けばオペラに行けるかというのが分かり始めたのだ。

途中でタバコを買い、カフェで一服しながら飲んでいるのは、また「エスプレッソ」。

パリで「カフェ」といえばこのエスプレッソが出てくる。 しかも美味いのだ。 カフェで一休みするのが癖になってしまったようだ・・・。

多分今、やや西寄りに歩いているから、凱旋門に近づいているだろうな・・・。あれっ、街なかなのにメリーゴーランドが・・・パリの子どもたちは幸 せだなぁ。 僕たちなんてデパートの屋上でしか夢を見れなかった・・・。メリーゴーランドの写真を撮り、横断歩道を渡りながら、河崎君と大きな声で喋って いる。

白い服で白髪で短髪のエレガントな女性がタイヤ付きの鞄を転がしながら僕たちの横に並んだ・・・。 

僕と女性の目が合った。



「あなたたち日本人かしら??」



この一瞬の出会いが私にとって一生忘れられないものになるとは・・・そしてこの出会いが私の人生を変えるとは・・・。 この時点では想像も出来なかった。

モンマルトル アメリ スポット

 モンマルトルに朝が訪れた。 縦長の窓を観音開きして、ようやく開いた瞳で外を眺めている。 窓辺に咲く赤いゼラニウムが「ボンジュー」と言っている。 「ボンジュー」

なんだ・・・この匂いは。 凄い!! パリの朝ってパンが焼ける匂いがするんだ!!! なんとなく想像は出来ていたが、ここまでリアルに自分の目の前でヨーロッパが展開されるとすごい感動が押し寄せてくる。 まさかここまで徹底して「パリ」が「パリである」とは・・・。

螺旋階段を降り、移民らしき清掃のおじさんと挨拶しながらフロントに降りている。

フロントには"昔はさぞ美人だっただろう・・・"という韓国人のマダムがぽつりと座っている。 老眼鏡を鼻で掛け、上目遣いでこちらを見ている。

日本に居るときに国際電話で何度か話し、パリの事を細かく教えてくれた人だ。 この人の適切なアドバイスのお陰でパリが本当に身近な存在になった。

勝手が利かない中国の旧満州を3年連続旅し、そのあげく警察沙汰3回、掴み合いの喧嘩1回、更には目の前で人が2人も死んでしまったという思い出したくもない経験から、かなり慎重になってきた僕。

法律や交通、犯罪の傾向や暴力に対する対応等、下調べがかなり慎重な僕に対して「ごたごた言わずに早くパリに来なさい!!」と言った肝っ玉おばさんだ(笑)

僕が「今日から本格的にパリを回るんだ」と言うと、「楽しんできなさい」と笑顔で送り出してくれた。

石畳が古いのか、モンマルトルの坂道はごつごつしている。革靴を履いているのに石の感触が足に伝わるほどだ。 

映画アメリの八百屋がここから近いらしいので、坂を登っている。 坂道の途中で歩道と車道の境辺りに生活廃水だろうか・・・清らかな水が川の様に流れてきた。 パリは生活廃水もヴォルヴィックなのか??

足の悪いおじさんが一生懸命あるいている。 坂の街モンマルトルはこういう人にとっては悪魔のような街だろう・・・。 しかしおじさんはゆっくりゆっくり街路樹から零れ落ちる朝日に照らされながら、この街を歩いている。

おじさんは八百屋の位置を教えてくれた。 八百屋はまさに開店しようとしているところ。眺め回して八百屋に入ると、ワインや生活雑貨が狭い店内に 沢山置いてある。昔の日本の八百屋の雰囲気と少し似ている。正面には沢山の果物と野菜。店の入り口にレジがあり、中に進むと包装されずに売られている飴 や、お菓子、ジャムの数々 そして必ず置いてあるのがワイン。 さすがフランスだ・・・ワインにかなりのスペースをとられている。

店を眺め回した後、アメリのカフェを探すがどうも理解できない。 地図は持っているのだが、通りの名前が小さな斜体のフランス語で書かれており、 それを音として脳が記憶できないせいか、覚えにくく、なんとなく自信が持てないのだ。(朝鮮語は漢字に置き換えてすぐに記憶するがフランス語はそれが不可 能)

結局ホテルに戻り、おばさんに聞いている。 「ああ、ムーランルージュに行く途中の道にあるのよ。」とホテルが作った地図のコピーにボールペンで印を入れてくれた。

今度は自信満々に歩いている。 アメリのカフェは、映画そのままの姿で営業しているのですぐにわかった。 中に入ってもそのままだ。 あの映画はセットを使わずこの喫茶店をそのまま使って撮影されたらしい・・・。

河崎君も僕もアメリに心を打たれたもの同士だ。 僕はといえばいままで好きな映画ベスト3は韓国映画で不動だったが、このアメリという映画に出会 い、突然ハンマー5本で頭をぶん殴られたような気がした。 この映画は僕の中では確実に2位にいる・・・。 とにかくとてつもないパワーを持つ映画である ことは間違いない・・・。

カフェで頼んだのはモーニングセット6ユーロ。 つぶつぶオレンジジュースとパン(クロワッサンとはじめてみた長いパン)そしてエスプレッソだ。

アメリよりも気が利いた感じの女性がテキパキと働いている・・・。 
とにかく忙しいようだ。日曜の朝なのに客はまぁまぁ入っている。さっきからパンを食べているが・・・

もぅ話にならないくらい美味い。 素晴らしく美味い。 日本のパンなんて・・・もぅ鼻糞状態だ・・・こんなもの知ってしまったら日本に帰ったら大変だろうな・・・ いゃあとにかく無茶苦茶に美味すぎてどーにかなりそうだ。 


まさか、ここまでとは・・・。 パリは想像力の限界を突きつけてくる場所・・・。 パンを食っただけでここまで俺を壊すとは・・・。


韓国は、入りにくい国だが深く介入ってしまえば中毒どころじゃない無茶苦茶縦に深い国・・・。一方、フランスは・・・。

モンマルトルの夜


ホテルまで帰ろう・・・しかし道がよくわからない。 サクレ・クールの方向に向かうと、パリの夜景とオレンジ色の月、そして青いライトに染まったエッフェル塔が煌煌と輝いている。

この景色痺れるよね・・・。 河崎君と二人で目の前に広がる幻想的風景を眺めている。

「パリの月」を眺めながら石畳の坂道をどんどん下ってゆく。 途中、墓場もあれば、どちらに行けばいいか分からない岐路もある。しかし何故か自分の足で歩いて帰りたい。 

夜な夜な歩くフランス人に道を聞きながら赤く輝くムーランルージュを目指している。ホテルに辿り着く途中の店に入った。河崎君がミネラルウォーターを買っている。

噂には聞いていたがフランスの水は日本の水に比べて硬い。 僕は通常クリスタルカイザー(アメリカ、シャスタ水源→かなり軟水)を飲んでいるの で、やはり硬いな・・・と感じる。 水が軟水か硬水か飲んでもわからないという人が多いが「うそやろ??」と思う。 そういう人はコントレックスと日田天 領水の区別もつかないらしい。


違いが分かる男に生まれてよかった・・・。


ホテルに到着し、二人は口をダンマリしている。日本から出発したときに決めたのだ。 二人は喋り始めたら朝まで喋るので、パリに居るときは体力温存の為にやめようと・・・。

河崎君は有名人に例えるとイチローに似ている。 ヒゲのはやし方もそうだが、喋り方、仕事に対するストイックさ、考える人であり、クールな大人であること・・・どれをとってもイチローと同じ感じだ。

一方僕は河崎君よりもかなり子どもっぽい。 会社では後輩から「一見大人だけど、実はかなり無鉄砲で大胆ですよね」とか言われ、上司からは「反抗 的でわがままで暴力的で喋っている言葉の80%が皮肉だけど、意外と繊細な感性を持ってるよなお前は」とか言われている。(最低人間やないか...) 同 い年として、河崎君を目指して見習わなければならないと思う事が多い。


でもね、子どもでいたいのよずっと。 


河崎君は黙って目を閉じて寝てしまった。 さすが大人だよな・・・約束をちゃんと守るもん・・・。 おやすみ。

フロントに朝鮮語で電話しモーニングコールを頼んでいる。 ここはパリなのか・・・ソウルなのか・・・。 窓の外から聞こえるモンマルトルの喧騒は酔いどれた人たちが意味もなく笑い叫ぶフランス語だ。

ラパンアジル

 タクシーは狭い石畳の道をcolgolcolと音を立てて走っている。 平たい道を走る時の音「zsya---」と、石畳の上を走る時の音「colgolcol」は明らかに違う。

重厚感のある白い建物たちの一階は、大抵青、赤、緑、茶など、一色だけでペイントされており、その中でフランス人たちが口を尖らせながら指をふりふりし、様々な商売をやっている。

そんなショップが向き合っている狭い石畳の道が登坂になりはじめた。モンマルトルの丘に近づいているのだろう。

ホテルに着いた。 タクシー料金を払うと少しだけチップをせがまれる。 荷物を抱えてくれたかららしい。 

このホテルは韓国人の家族が経営しているホテルだ。 河崎君には「パリまで来て韓国??」と思われるかもしれないが、今まで何度も旅をしてきて情報が容易に手に入る場所こそ基地にすべきだということを痛いほど分かっている。

ここは日本語でのインターネットも使用できるし、何より僕の母国語、朝鮮語が湯水のように使える。 しかもモンマルトルだ。 ここを選ばない手はなかったのだ。 そしてこの選択は後に大きな成果となって表れることとなる。

早速ホテルを出て散歩を始めた。 石畳の登坂。 モンマルトルはとにかく坂道だ。 河崎君は有名なビストロが近くにあると言いながらどんどん上に上って行く。 しかしそこには鉄柵で閉められた門しかなかった。 来て早々そう簡単にいくはずがない。

ムーランルージュ前に戻ると白い機関車の形をした長い車「プチトラン」が止まっている。 昔どこかで見た車体だ・・・あっ!! こいつは仁川大公園を走っている「兎1号」じゃないか!!!!!!

早速、それに乗りこみ、坂をずんずんと上って行く。しかしかなり寒い・・・。 パリの夏は寒いなオイ・・・。 まるで日本の初冬みたいな寒さだ。

坂の途中でいきなり現れたのは白亜の聖堂「サクレ・クール」 かなりデカイ。 なんだか時差ボケで夢を見ているような感覚だ。 シャンソンが流れるこのプチトランが夢のゆりかごのようで、かなり眠い・・・。

降ろされた場所から歩いて向かったのはシャンソニエ(シャンソン酒場)「ラパン・アジル」フランス語で「跳ねる兎」という意味だ。

何だ?? こんな真っ暗な坂道を後ろから奇声をあげて走ってくる女性がいる。 んっ・・・?? 何と言っているかさっぱり分からないが、河崎君も僕も「泥棒!!」と言っているように感じた。 女性は全速力で我々を追い越し、ラパンアジルの前で犯人を 取り押さえたようだ。 数人の野次馬がそれを見ているが、我々には何が起こっているのか全くわからない。 言葉の分からぬ切なさとラパンアジルから漏れて くるわずかなシャンソンの旋律が更に眠気を加速させる。

木造でかなり古い屋敷、ラパンアジルの扉を少し開けると赤い照明に照らされたおばさんと目が合った。「さぁ入っておいで」と言っているようだ。 黒いカーテンを開けて隣の部屋に入ると、40人ほどの人がグラスを片手に真面目な顔でシャンソンを鑑賞している。

薄毛で痩せた男性がピアノを弾き、ソバージュで厚化粧の太った女性が歌い、たまに二人でハモったりしている。 日本のアーチストで言えば「ダ・カーポ」に近い雰囲気の音楽だ。 ふざけた曲もあれば、しっとりと心を包み込むような、それでいて悲しい曲もある・・・。 

河崎君はグラスワイン、僕はチェリー酒を頼んだ。 ラパンアジルのチェリー酒は有名だ。 少し待つと、うわさのチェリー酒が出てきた。 少し口をつけると、丸いものがが上唇に触れた。 ああ、よく見たらグラスの中にチェリーがゴロゴロ入っている。

しかも飛び上がるほど洗練されていて美味しい。 雑味が全くなく、チェリーの旨みが濃縮されている。 これは最高のヒットだ・・・。 こんな美味い果実酒は初めて飲んだ・・・。

グラスを片手に持った二人は夜遅くまでシャンソンを聞いていた・・・夢なのか現実なのか・・・我々は今、かつてユトリロが描き、ピカソが通ったフランスの夜の酒場にいるらしい・・・。

ロワシーバス オペラ前

 空港から伸びる高速道路から見る景色はどの国も変わらない。 タイも韓国も中国も・・・。 景色がフランスチックじゃなくてつまらないな・・・つい転寝していた。 

んっ??起きたら窓の外の景色がパリチックになっている。

河崎君が「さっき黒人がつかみ合って喧嘩していたよ。ここは結構治安が悪いところじゃないの??」と言っている。 なるほど・・・19区と18区の間を走っているのか。 

パリ20区の区分けは、中心である中洲(シテ島)1区から20区までをロールケーキの様に時計回りに割付てある。我々は18区に陣を張ることにしている。 そう、憧れのモンマルトルだ。

多くの有名画家たちが住み、何度も訪れ、この地で命を落とした。 そのモンマルトルは僕にとって憧れであり、宿命の地であった。

あっ・・・窓の景色が恐ろしい光景になってきた。アイボリー色で装飾が高級で、窓が縦長で超アンティークで、煙突が突き出ている建物たちが半端じゃない量で我々の視界を埋め尽くした・・・

そう映画に出てくるパリの建物がドカドカ現れ始めたのだ。 本物は視覚的重厚感が物凄い。こりゃ想像していたパリを見事にぶっこわしてくれた。 ここまで何処までも、何処までも、何処までもパリの建物だらけだとは思わなかったのだ・・・。 

窓にはプランターが掛けてあり、赤いゼラニウムがちょうどいい分量で咲いている。 つい口が開いてしまった。 空が見えないほど、パリの建物に埋め尽くされている・・・。

何なんだここは。 何なんだここは・・・。 初めて受ける種類の衝撃だ・・・。 かくれんぼをしていて、校長室に迷い込んだ時の5000倍くらい激しい衝撃・・・。 一言で言えば「すごくすごく場違いな世界に迷い込んだ」感じだ。

もぅ僕の口からは「すげー」しか出てこない。 何を見ても「カワイイ」と形容するギャルと全く同じだ。 河崎君と街を見ながら「スゲーーーよ」を 連呼している。 本当に今はこれ以外に言葉が見当たらないのよ・・・。 脳みそに炭酸がバチバチしているし、さっきまで落ち着き払っていたくせに血圧がか なり上がっているのが自分で分かる。 

バスはオペラに到着し、みんな降りてゆく。 重いカバンを抱えて降りると巨大なオペラ座が僕たちを押しつぶす勢いで仁王立ちしている・・・。

こっ・・・ここがパリの中心オペラ座か・・・。 遂に俺はやって来たぞ・・・憧れの、憧れのパリにやってきたんだ!!!!!

♪パリーージュルォトアテブォるトワーーー〜 デュエマギるデぇパリー〜〜 セラリーデそワ シャンソ〜ン(適当に歌っている)

オペラの前でポンっと投げ出された感じ。 河崎君がタクシーでも拾おうか・・・と言っている。 そうやね・・・。 パリの風は都にもかかわらず清 清しく、花の香りさえする。 初めて踏む石畳を歩きながら、向かってくるタクシーに手を上げている。 一台のタクシーが止まった。

英語で「モンマルトルまで行きたいんだが・・・」と伝えた。

シャルル・ト・゙ゴール空港からロワシーバスで

 ガーーーンという音と共にシャルル・ド・ゴール空港に着陸。 草の色が違うし、日差しの色が違う。 何だろう・・・オーバーに言えばナメック星に来た感じだ。

最近引退したコンコルドの死骸が飾ってある。世界一早くてうるさい航空機だ。エスプレッソマシンも抽出早くてうるさいよな・・・フランスって早くてうるさいものが多いのかな・・・。


早くお外に出たい出たい出たい。


入国審査の場所は薄暗く、ソウルやバンコクや日本のあらゆる空港の感じとは違う。なんとなく古ぼけたような中国の様な感じだ。

審査はあっという間だ。パスポートを少し広げるとよく見ずに「オッケーカモナベイベー」って感じ。えっ??マジでもう終わり?? 昨年のタイ王国とは大違いだ。「俺は究極に過激なテロリストなんだぞ・・・。」と心の中で呟きながら出口に向かって歩いている。

巨大回転寿司の前で鞄を待っていると、仁川空港の乗り口ゲートで出会ったフランス人も白髪頭を掻きながら流れる鞄を眺めている。

このフランス人は僕のパリの地図を広げ、絶対に行くべきポイントにマーカーを入れてくれた人だ。そして自身の舌で美味しかったと思うビストロまで丁寧に教えてくれ、全く闇の中だったパリの扉を開き、わずかな光を入れてくれた人だ。

僕と河崎君は長旅でパンパンにむくんだ足のまま、フランス人の彼に歩み寄り、挨拶している。 彼は「いつまでフランスに滞在するんだ??時間の都合が合うのならば僕がベルサイユに招待するよ」と言いながら携帯の番号をメモしてくれた。

フランス人って意外といいヤツだな・・・。

とにかくションベンがしたい、鼻をかみたい、タバコが吸いたい、パリの街を早く見たい・・・僕は小さな欲望の化け物になっている。

とりあえずロワシーバスというバスに乗ればオペラまで行ける。 

ここに来る前にインターネットの「パリの旅質問コーナー」でアドバイスしている日本人も腰抜けばかりだった。平気で片道50ユーロもするタクシーを「安全が保障される料金」と言いながら薦めている。

確かにそうかもしれん・・・。 しかし1ユーロ168円だぜ・・・。 タクシー片道8400円?? はぁ?? 有り得んやろ。 有り得んマジで。

ヨーロッパはバスの中でもスリや置き引きが多いらしい。 それは地球の歩き方にもかなりしつこく書かれている。 

しかしこうも書いてある。スられようとしたら"ボコって"いいらしいのだ。 つまりフランスは殴っていい国だということだろう。 触っただけで何のかんの言われるアジアとは大違い。 犯罪人と分かれば暴力OKという有難いこの雰囲気を利用しない手はない。

>でもすーちゃん危ないかもよ。パリジュテームって映画で白人から黒人がサクって刺されてたじゃん・・・。

そりゃパリ19区のことだろ・・・。 あるいは満州の時みたいにこっちも「ナ*フ」携帯して歩くか??

>すーちゃんそんな事書いたらあの国に入国できなくなるよ!!

しょーがねーじゃん。 あの地帯で夜遅くまで遊ぶためには要るだろ??
(遊ばなけりゃいーじゃん)

ロワシーバスに重いカバンを乗せ、バスの入り口で料金を払う。 8ユーロか・・・。 バスはオペラに向けて走り始めた。

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